ウイスキーが出来るまで。製造工程を解説。

【ウイスキーは穀物を原料とした蒸留酒】と説明されたりしますが、実際には非常に多くの工程と時間をかけて作られています。

今回は、大麦で作られるモルトウイスキーを例として、ウイスキーが出来るまでを解説いたします。

①製麦(モルティング)

【製麦】は、この後に出てくる、"発酵"という工程で、酵母菌によって糖分をアルコールに変化させますが、大麦自体はでんぷん質(糖分が連なって大きすぎて酵母菌が活動できない状態)のため、酵素を使ってでんぷんを糖分に分解させる必要があるのですが、この大麦から酵素をつくる作業が、製麦となります。

大麦を水に浸すと、芽が出て発芽し、ある程度芽が出てきたところで発芽を止めるため乾燥させます。

この発芽した状態を、大麦麦芽又はモルトと言い、大麦の中にデンプンを分解するための酵素が作られます。

この乾燥には、炭や薪、ガスで火を焚いて行います。
他にも、ピート(泥炭)という、土からとりだした炭のようなものを使って火を炊くと、独特のヨードやスモーキーな風味のウイスキーになります。ピートを炊いて作られた大麦麦芽をピーテッドモルトなどと呼びます。

②糖化・ろ過(マッシング)

【糖化】は、①の製麦で作られた、大麦麦芽(モルト)の酵素を使って、でんぷんを酵母が活動できる糖に変化させる工程となります。

作業は、大麦麦芽を粉砕し60~65℃の温水に浸し、かき混ぜます。
温水に浸されることで酵素が活動し、デンプンが分解され糖分(麦芽糖)に変わります。
これをろ過し、余計な麦芽のカスなどを取り除いて作られたものを、麦汁と呼びます。

③発酵

この【発酵】の工程で、ついにアルコールとなります。

②の糖化で作られた、麦汁に酵母という菌の一種を加えます。
この酵母は、菌なので生きており、餌も食べるわけですが、酵母菌の餌となるのが糖です。
酵母菌は、餌である糖を食べ、代わりにアルコールと二酸化炭素を排出します。

つまり、酵母菌により麦汁の中の糖がアルコールへと変化していくわけです。

この麦汁が発酵された状態を"もろみ"と呼び、アルコール度数は7%程度となります。

ちなみにビールは、同じ大麦を原料とした醸造酒であり、この時点ではビールに近い状態と言えます。
(ビールはこれに加えてホップなどを添加します)

④蒸留

蒸留は、発酵で作られた"もろみ"から、香味成分とアルコール度数の高い液体を抽出する作業となります。

仕組みは、アルコールの沸点が78℃で水の沸点である100℃より低い性質を利用します。

蒸留器と呼ばれる、銅製の大きな窯のようなものの中にもろみを入れ、アルコールの沸点以上、水の沸点に達さない範囲で加熱することでアルコールが先に水蒸気となりその水蒸気を冷却し再び液体にすることで、香味成分とアルコール度数の高い液体を抽出します。

とはいえ、1回の蒸留では、アルコール度数は20度程度であるため、通常は2回か3回繰り返し蒸留を行い、60~70度程度までアルコール度数を上げます。
蒸留の回数3回と2回では、3回蒸留をした場合は、より雑味が少なくすっきりとした味わいになり、2回だけの蒸留ではより個性の強いウイスキーとなる傾向があります。

また、蒸留器の形や加熱方法などでも風味は変化してきます。

この工程で作られたアルコール度数の高い液体を"ニューポット"と呼びます。

⑤熟成

熟成では、蒸留することで作られた、ニューポットを樽に入れ、長期間貯蔵します。

ニューポットは無色透明ですが、熟成されることで樽の成分がうつり、琥珀色へ変化します。
色だけでなく、味や香りも熟成期間と共に変化していき、熟成期間が長いほどアルコールの角もとれ、まろやかな風味になる傾向があります。

樽の木材には、ホワイトークやスパニッシュオーク、ミズナラなどがよく使われます。
またワインやシェリー酒の熟成に使った樽を使いまわしたり、新樽の場合、内側を火で炙り焦がした樽を使うなど、樽によってもウイスキーの個性が左右されていきます。

⑥加水・ヴァッティング(ブレンド)

熟成されたウイスキーは、このままではアルコール度数が非常に高いため、40度~50度程度になるように加水され、ヴァッティングという作業を行います。

ヴァッティングとは、多くの樽で熟成されているウイスキーから、風味の調整をするためにブレンドする事を言います。
シングルモルトウイスキーは、一つの蒸留所内で熟成された樽からヴァッティングを行い、ブレンデッドモルトウイスキーでは、複数の蒸留所で熟成された樽からヴァッティングします。

この作業はブレンダーと呼ばれる特別な技能を持った一部の技師によって行われ、ウイスキー作りの中でも花形の仕事と言えます。

また、樽ごとの個性を楽しむために、あえて、ブレンドせずに一つの樽からのみで瓶詰めされたものもあり、これを"シングルカスク"と呼びます。

ヴァッティングを行われたウイスキーは瓶詰され出荷となり、晴れて私たちの手に渡るようになります。

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