ジャック・ダニエルはバーボンでは無い。が、バーボンである理由。

「ジャック・ダニエルはバーボンではない」
ウイスキーに詳しい方からたまにこういう話を聞きます

アメリカのウイスキーはバーボンウイスキーのイメージが強く、
アメリカンウイスキー=バーボンウイスキー
と思われている方も多くいらっしゃいます。

つまりはアメリカのウイスキーであるジャック・ダニエルはバーボンウイスキーと思われている方が多くいらっしゃることに対して、冒頭の会話が出てくるわけです。

実際のところは、
"ジャック・ダニエルはバーボンウイスキーでは無い"
というのは正解です。

でも、見方を変えると、実はジャック・ダニエルはバーボンウイスキーとも言えるのです。
矛盾した説明に聞こえると思いますが、今回はジャック・ダニエル、そしてバーボンウイスキー、テネシーウイスキーの関係についてお話いたします。

ジャック・ダニエルとは

ジャック・ダニエル(ウイスキー)は、アメリカ合衆国テネシー州リンチバーグにあるジャック・ダニエル蒸留所で作られているウイスキーで、名前はこの蒸留所と製造メーカーであるジャック・ダニエル社の創始者でもある、ジャスパー・ニュートン・ジャック・ダニエル氏の名前から由来しています。

ジャック・ダニエル氏は貧困家庭の産まれであったことから、牧師の傍ら蒸留所のオーナーでもあったダン・コール氏のもとに幼少時から預けられ働いていました。

1863年には、当時13歳でジャック・ダニエル氏が、ダン・コール氏の持つ蒸留所を譲り受け、本格的に「ジャック・ダニエル」という名のウイスキーを作り始めました。

1904年には、ミズーリ州で開催されたセントルイス万博に【ジャック・ダニエル オールドN0.7】を出品、金賞を受賞しました。

以降、知名度・人気ともあがり続けましたが、1920年、アメリカ合衆国で禁酒法が施行されたことで蒸留所が閉鎖され、再建を試みるもブラウン・フォーマン社に買収されることとなりました。
しかし、紆余曲折がありながらも、ジャック・ダニエルの人気は根強く、現在、ジャック・ダニエル No.7は世界で最も売れているウイスキー銘柄となっています。

●チャコール・メローイング製法

チャコール・メローイング製法とは、ジャック・ダニエルの生産地でもある、テネシー州での伝統的な製法でもあり、蒸留後の原酒(ニューポット)を、サトウカエデの木炭が敷き詰められた濾過槽に少しづつ垂らしながら、ろ過を行う工程を言います。

この工程により、ジャック・ダニエルの特徴ともいえる、口当たりはなめらかで、カラメルのようなほろ苦さと甘さ、そしてコクが生まれます。

ジャック・ダニエルはバーボンウイスキーでは無い理由

ジャック・ダニエルがバーボンウイスキーでは無い理由は非常に単純で、ジャック・ダニエル自身がバーボンであることを否定しているからです。
ジャック・ダニエルはキャッチコピーに

"IT'S NOT SCOTCH. IT'S NOT BOURBON. IT'S JACK."
(スコッチでもない。バーボンでもない。ジャックダニエル)

と掲げています。
つまり、ジャック・ダニエル自身が「バーボンでは無い」と言っているわけです。

ラベルにもある通り、ジャック・ダニエルは"テネシーウイスキー"を名乗って販売されています。

ジャック・ダニエルがバーボンウイスキーと言える理由

上で、自らバーボンであることを否定していますが、ジャック・ダニエルは見方によってはバーボンウイスキーとも言えます。
その理由は、バーボンウイスキーの定義にあります。

バーボンウイスキーの定義はアメリカ合衆国の法律で以下のように決められています。

  • アメリカ合衆国で製造されていること
  • トウモロコシの含有量が51%以上であること
  • 蒸留時のアルコール度数は80%以下であること
  • 熟成には、新品のオーク樽を使用し内側を炭化皮膜処理(焦がして処理)すること
  • 熟成時、樽に入れる前のアルコール度数は62.5%以下であること
  • 瓶詰時のアルコール度数は40%以上であること

これらを満たすことで、法律上バーボンウイスキーを名乗ることが許されます。

そして、ジャック・ダニエルはこの条件を全て満たしています。
したがって、定義上はジャック・ダニエルはバーボンウイスキーと言えるのです。

一方、ジャック・ダニエルが自ら名乗っている、テネシーウイスキーの一般的な定義は、上記のバーボンウイスキーの定義に加えて

  • テネシー州で製造していること
  • 蒸留後の原酒をサトウカエデの木炭でろ過している(チャコール・メローイング製法を行っている)こと

の二つが加わります。
(テネシーウイスキーに明確な定義は無く、チャコール・メローイング製法を行わないテネシーウイスキーもあります)

定義上の観点では、ジャック・ダニエルは、テネシーウイスキーでありバーボンウイスキーでもある、というわけです。

バーボンウイスキーについてはこちらの記事に詳しく書いています。⇒【ウイスキーのお話し】バーボンとは。スコッチやウイスキーとは違うのか。

なぜジャックダニエルはテネシーウイスキーにこだわるのか

ジャック・ダニエルは、バーボンウイスキーと名乗れるにもかかわらず、単に名乗らないどころか

「IT'S NOT BOURBON」
と、はっきりと否定しています。

バーボンを名乗らない、というよりはわざわざ掲げられている、この否定に強い意志すら感じます。

この理由を探るには、テネシー州とバーボンウイスキーの発祥地であるケンタッキー州の歴史的関係が絡んできます。

1861年から1865年、アメリカ合衆国は南北で二分した大きな内戦、南北戦争がありました。

この時、テネシー州は南側につき、隣のケンタッキー州は当初南側でしたが寝がえり北側につきました。
結果、この二つの州の境目は最前線となり激しい戦いに巻き込まれテネシー州は壊滅的なほどの被害が出てしまいました。
一方で、有利に戦いを進めた北側についたケンタッキー州は軽微な被害で済みました。

この南北戦争真っただ中の1863年、13歳のジャック・ダニエル氏は蒸留所を譲り受け、本格的なウイスキー作りを始めたのでした。

ジャック・ダニエル氏は、故郷の苦難の中でウイスキー作りを始め、その背景からバーボンの名は使わず、あくまで故郷であるテネシー州のウイスキーとして名を挙げる強い思いを込めて、ウイスキー作りを行うようになったのでした。

最後に

今回は、ジャック・ダニエルについて、そしてテネシーウイスキーとバーボンウイスキーの関係についてお話してきました。

ジャック・ダニエルは、テネシーウイスキーでありながら、定義上はバーボンウイスキーとも言えます。

しかし、自らバーボンである事を否定し、テネシーウイスキーとして販売をしています。
これには、ウイスキー作りを超えた、歴史的苦難とそれに対する不屈の精神、そして強いアイデンティティーを主張している背景があります。

そんな思いに馳せながら、ジャック・ダニエルを飲んでみると、また一段と美味しく感じるのではないでしょうか。

【初めてのバー】バーでの料金の相場はいくらぐらいか?

バーに行ってみたいけど、すごく高そうなイメージ
外から見ても価格がわからないし入りづらい

なんて話をよく聞きます。

バーの相場は、もちろんピンキリですし、同じお店でも何を飲むかによって変わってきます。

高級バーでもなく、安いカジュアルなバーでもなく、カウンター中心の小規模なバーでスタンダードなカクテルやウイスキーを飲んだ場合、ざっくりですが

1杯 1,000円ぐらい
3杯飲めば、3,000円ぐらい

というのが個人的感覚です。

とは言え、バーの料金には色々な要素が絡んでくるので、今回はバーの料金相場・会計についてもう少し深堀してみたいと思います。

この記事では、高級なバーや安さを売りにしているようなバーではなく、小規模で比較的落ち着いてお話ができるようなオーセンティックよりのお店を前提に解説しています。

また、このような前提であっても、料金については立地やお店の方針などに大きく左右されるため、この記事の内容通りでないこともあり得ますので、あくまで参考程度にお読みください。

会計金額の内訳

バーの会計時、支払金額を伝票などで提示されますがこの内訳は、主に

  • チャージ料金
  • ドリンク(フード)代

の二つに分けられます。
お会計時に提示されている金額は、チャージ料金と注文したドリンク・フード代を合わせた金額となっているわけです。

チャージ料金とは。相場は?

チャージ料金とは、注文したドリンクなどとは別に発生する料金で、もっともよくあるのは『テーブルチャージ』と呼ばれるものです。

テーブルチャージは席料金のことで、そのお店で注文してお酒を飲めば、ドリンク代とは別に自動的に会計時に付加されます。

チャージ料金の相場は、
一人、500円前後(300円から700円程度)で設定されているバーほとんどです。

一方で、テーブルチャージ料金を取らないノーチャージのお店もあります。

ノーチャージのお店は、チャージ料金を取らない代わりに、1杯当たりの値段が若干(100~300円程度)高く設定されているお店が多くなっています。

チャージ料金については、他にも
・カラオケを歌うためのチャージ(カラオケチャージ)や
・生演奏を聴くためのチャージ(ライブチャージ)
などが設定されているお店もありますが、お店によってかなり扱いに差があり一般的なバーではあまり無いので、今回は説明は割愛します。

チャージ料金については、過去にも詳しく書いた記事がありますので参考にしてください⇒【バー入門】バーのチャージとは?相場はいくらぐらい?

ドリンク(フード)代の相場

当たり前ですが、お店で自ら注文したものに対しては、それぞれ料金がかかります。

お酒にも安いものも高いものもあり、当店でもドリンクメニューの中で一番安いのは1杯600円からありますし、最も高いものは1杯19,400円となっています。

このように、お酒にもいろいろあるわけですが、
ジントニックなど一般的なカクテルの場合
チャージをとっているお店で
700円前後
ノーチャージのお店では、
900円前後
シェイカーを振るカクテルなどは、これにプラス100~200円程度、
フレッシュフルーツを使ったカクテルはチャージ有無関係なく、1,000円から1,500円程度で設定されているお店が多いかと思います。

つまり、チャージ600円のお店でジントニック700円として3杯飲むと
600円(チャージ料金)+2,100円(ドリンク代)で
会計時の金額は、2,700円となります。

参考までに当店、お初天神 バー・ザメモリーのメニューをアップしていますので、ご参考いただければと思います⇒メニュー
ちなみに、当店はテーブルチャージとして600円を設定させていただいています。

最後に

今回は、バーの相場について書かせていただきました。

外からは金額感がわからず入りにくい、勇気を出して入店してもメニューもなく料金がわからないため安心して飲めない、といった方もいらっしゃると思いますので、少しでも参考になれば幸いです。

メニューなどがなくても、注文する時に
「そのお酒はいくらぐらいですか?」
と、金額を聞くのは全く問題ありませんし、先に
「今日は3,000円ぐらいで3杯ほど飲もうと思ってるんですが・・・」といった具合に予算を伝えていただければ、バーテンダーはその範囲でおすすめしてもらえると思います。

ですので、是非、あまり構えずに気楽にバーに入ってみてください!

バーテンダーが慣れているなと思うお客さん7つの共通点【スマートな飲み方とは】

毎日バーカウンターに立たせて頂いていると、当然色んな方にお越しいただけます。

『初めてバーにこられた方』から
『何十年とライフワークのようにバーに通われている方』まで

当店は一見さんお断りでもありませんし、バーの使い方は人それぞれであるべきで、いずれの方であってももちろん大歓迎です。

そんな多くの方をお迎えしている中で、特に聞かなくても「この方、バーによく行き慣れているんだろうな」と思う方もいらっしゃいます。

今日は、小さなバーを経営しているバーテンダーから見て、バーにかなり慣れていると感じさせるお客様の特徴についてお話します。

メニューを見ない

長年バーで飲み続けていると、自分の中で飲みたいものはだいたい決まってくる方が多いようです。
なのでわざわざメニューは見ないで、バックバーに並んでいるボトルから自分が飲みたいと思うものを注文されます。

そしてだいたいその"飲みたいもの"は、珍しいお酒では無く、どこのバーにでもある一般的なものが多いです。

同じものを頼み続ける

ライフワークともいえるぐらいバーに通うと、もはやあのお酒試したい、このお酒試したいといった事もあまり無くなるのでしょう。

最初に頼んだものをひたすら注文されます。
その日もずっと、
次来られた時もずっと、
その次来られた時もずっと、
同じものを注文されます。

そしてある程度通っていただいた結果、こちらももはや注文すら聞かず、来店されて席に座られたら勝手に作って勝手に提供するようになります(笑)

飲むペースが一定

長年お酒を飲み続けている方は、自分のアルコールを飲める量とペース配分を感覚的に理解されています。

アルコールに強い弱いとは別に、自分に合ったペースで飲み続けて無理もしないからこそ長年お酒を飲み続けられているとも言えると思います。
(あえて、自らそのペースを崩して飲まれる方もいらっしゃいますが・・・)

普通の方は1杯目は比較的早く2杯目、3杯目と杯数が増えるたびにペースダウンしていきますが、ライフワークのように飲まれる方は、20分ぐらいで1杯、1時間で3杯飲んでお会計、という具合に飲むペースも、帰るタイミングもいつも決まってらっしゃる方が多いようです。

2杯目以降も「同じグラスでいいよ」

上記の通り、バーにさんざん通い慣れた方は、基本的に2杯目以降も同じものを頼まれるわけですが、その時に、今飲んでいたグラスを出して「このグラス使って」と言ってくださります。

同じものを飲むからグラスを変える必要もないし、
洗い物が減るようにお客様が気を使ってくださっての事ですが、
このレベルの気遣いになってくると、もはや同業者じゃないかとちょっと疑います(笑)
実際、同業同士の店に行くと、このセリフは結構言います。

お客様はそこまで気を使ってもらわなくて大丈夫ですんで!

意外とお酒には詳しくない

自分の好きなものをただいつも飲んでいるだけ、という感じでしょうか。

お酒の製法がどうだ、歴史がどうだ、アレはこんな味がして、といった事はあまり興味を持ってらっしゃらないか、
もしくは、実は詳しいけどそういった話は自分からしない感じで、
ただ、飲めればそれでいいようです(笑)

バーに長く通っている中で、ウンチク的なことは飽きるほど聞いてるのかもしれません。

あまり高いお酒は飲まない

まず前提として
高いお酒=美味しいお酒
では無いのです。

一部のセレブな方を除いて、通うぐらいバーに行くのなら安く済むに越したことはありません。
長年バーで飲まれている中でみなさん、比較的安くて自分にとって美味しいと思うお酒を見つけておられるようです。

支払いが現金

理由はわかりませんが、現金でお会計される方が多いように感じます。

お店がカード決済の手数料を負担することを気にして、現金にしてくださっているのかもしれません。

もしくは、

国を挙げてキャッシュレスが推奨されている中でも、小さなバーは現金しか扱っていないところが多くあり、自分が通ういくつかのバーによって、カードと現金を使い分けるのが面倒で確実な現金でお支払いいただいているのかもしれません。

手持ちの現金の範囲でしか飲まないというルールを作ってらっしゃるのかもしれません(笑)

最後に

今回は、バーテンダーとして接客させていただく中で、「この方バーにかなり行かれているんだろうな」と思う方の特徴をあげてみました。

勘違いしないでいただきたいのは、このような飲み方じゃないとダメ!とか、こういう方がエライ!と申し上げているわけではありません。
冒頭でも書いた通り、それぞれのバーの在り方に合わせて、好きに飲んでいただくのが正解ですんで。

ただ、何年・何十年とバーで飲まれている方というのは、ある程度行きつく場所があるんだろうなとも思い、書かせていただきました。

そんな方に愛されるバーでありたいと思いながら、私も日々奮闘させていただいております。

世界の5大ウイスキーとは?それぞのれ特徴を解説

ウイスキーは世界中で作られていますが、中でも主要な生産地5か所で作られているウイスキーを総称して5大ウイスキーと呼ばれます。

5大ウイスキーとは

  • アイリッシュウイスキー(アイルランド)
  • スコッチウイスキー(スコットランド)
  • アメリカンウイスキー(アメリカ合衆国)
  • カナディアンウイスキー(カナダ)
  • ジャパニーズウイスキー(日本)

この5つを指します。

今回はこの5大ウイスキーそれぞれの特徴をご紹介します。

アイリッシュウイスキー

アイリッシュウイスキーとは、アイルランドで生産されたウイスキーです。

特徴はポットスチルウイスキーと呼ばれる、発芽した大麦麦芽と未発芽の大麦を混ぜてつくられるウイスキーを使用します。

風味は、ポットスチルウイスキー独特のオイリーさがありながら、3回蒸留(一部を除く)を行うことで雑味が少なく、すっきりとどんどん飲めてしまいます。

アイリッシュウイスキーの歴史は古く、5世紀から6世紀ごろに始まったと言われています。
19世紀ごろまでには世界で最も飲まれているウイスキーとして広がりましたが、その後主要な輸出国であるアメリカ合衆国で禁酒法が施行されたことをきっかけに、消費量は激減していきました。
しかし、現在も一時期ほどではありませんが、人気も回復しつつあり世界中で愛好者が多くいるウイスキーとなります。

関連記事:アイリッシュウイスキーとは。おすすめのアイリッシュウイスキーも紹介。

スコッチウイスキー

スコッチウイスキーは、スコットランドで生産されているウイスキーです。

スコッチウイスキーは、大きく2種類に分けることができます。

・シングルモルトウイスキー

消毒液のような風味から、フルーティだったり甘味があったりと一つの蒸留所のモルトウイスキーのみを使うことで、蒸留所ごとの個性が幅広く強く出やすいウイスキー。

・ブレンデッドウイスキー

複数の蒸留所で作られた、モルトウイスキーと、大麦以外の穀物を使ったグレーンウイスキーをブレンドし、すっきりと飲みやすいウイスキー。

ウイスキー好きの多くは個性の強いシングルモルトウイスキーを好む傾向がありますが、現在のようにスコッチウイスキーが世界的に広がったのは、安くて飲みやすいブレンデッドウイスキーが発明されたことが大きく影響しています。

関連記事:スコッチウイスキーとは?初めて飲む方へのおすすめも紹介

アメリカンウイスキー

アメリカンウイスキーとはアメリカ合衆国で生産されているウイスキーです。

アメリカンウイスキーの中でも、バーボンウイスキーが有名で18世紀後半、ケンタッキー州の牧師がウイスキー作りを始め、これがバーボンウイスキーの始まりでありアメリカンウイスキーの始まりとも言えます。

特徴は、主要な原料にトウモロコシを使い、新品のオーク樽の内側を焦がした樽で熟成させることです。
風味は力強く焦がし樽の独特のスモーキーさを感じさせます。

関連記事:【ウイスキーのお話し】バーボンとは。スコッチやウイスキーとは違うのか。

カナディアンウイスキー

カナディアンウイスキーはカナダで生産されているウイスキーです。

18世紀ごろ、農家が自分たちが作った穀物でウイスキー作りを始めたのが、カナディアンウイスキーの始まりとなります。
1920年、アメリカ合衆国で禁酒法が施工されると、それまでアメリカ国内で飲まれていた、アメリカンウイスキーやアイリッシュウイスキーが飲めなくなった代わりに、カナディアンウイスキーが大量に密輸され飲まれるようになったことで、いっきに広まりました。

風味はマイルドで飲みやすく、アルコールの角があまり無いため、クセの強いウイスキーが苦手な方にとって飲みやすいウイスキーとなっています。

関連記事:カナディアンウイスキーとは。味の特徴や歴史を解説。

ジャパニーズウイスキー

ジャパニーズウイスキーは、5大ウイスキーの中では最も歴史が浅いながらも、急激に日本国内だけでなく世界中で需要が増加し原酒不足となり、現在多くの銘柄で休売や終売が発表されています。

純国産のジャパニーズウイスキーは、1929年に寿屋(現在のサントリー)の山崎蒸留所で作られ販売された『白札』から始まりました。
寿屋は、スコットランドでウイスキー作りを学んだ、竹鶴政孝氏を招き、山崎蒸留所を建設、白札以降多くのウイスキーを生産しています。
竹鶴氏は、その後、寿屋を退職し自らニッカウヰスキーを立ち上げ、自分の理想とするウイスキー作りを目指しました。
サントリー・ニッカウヰスキー両社のウイスキーとも、2000年に入ったころから、世界的な賞を毎年のように受賞し人気が高まりました。

蒸留所や銘柄ごとに風味の特徴は幅広くさまざまですが、いずれも日本人に合う事を前提として作られています。

関連記事:ジャパニーズウイスキーとは?日本のウイスキーの歴史と現在のブームの背景も解説

【初めてのバー】バーの入店から退店までの流れを解説!

初めてバーに入る時ってちょっと緊張しますよね。

なにか独特のマナーがあるんじゃないか
一見は入ってもよいのか
お酒知らないけど注文どうしたら良いのだろう

そもそも、ドアが重そうで中が見えなくて、入りづらい店が多すぎる!!

そんなバーに行ったことない、もしくは慣れてないというバー入門者の方向けに、今回はバーのスマートな入店から退店までの流れを解説いたします。

お店に入る

まずは入る店を決めましょう。

どのお店が正解か、それは人にもよりますし、外観の情報はあまり無いので、ある程度運が必要です。
少ない外観から直感を信じてで”えいや!”と決めてしまいましょう。
最近だとインターネットで調べてお店を選ばれる方も多くいらっしゃいますが、グーグルなどで上位に掲載されてくるのはバー全体のごく一部でしかないので、いまだに良いバーは足で探すしかないかもしれません。

自分にとって合う店かどうかは、当たるも八卦、当たらぬも八卦、それも含めて楽しんでやろう、ぐらいの気持ちでお店に入りましょう。

居心地が悪ければ、一杯だけ飲んでさっさと出てまた他のお店を探せばよいのです。
大丈夫、ハズレの店でも命までは取られませんから(笑)

お店を選ぶのに一点だけ注意があります、それはバーの中には、一見さん(ふらっと来られる新規のお客様)をお断りしているお店があるという事です。

理由としては、一見さんOKだとどんなお客さんが来られるか店としてもわからないため、他のお客さんが安心して飲んでいただけるよう、御贔屓さん・常連さんまたはその紹介のお客様のみOKとしているわけです。

そういったお店は、入り口のどこかに
【メンバーズ】【会員制】【紹介制】といった文言を貼ってるところがほとんどです。

一旦入り口付近を見回してこういった文言が無ければ、あとはドアを開けて入店しましょう!

席に座る

ドアを開けて店内に少し入ったら一旦立ち止まってバーテンダーやスタッフを目で探しましょう。

お店側も気づけば
「いらっしゃいませ」
と声をかけてくれると思います。

そのタイミングで、向こうから聞いてくるかもしれませんが
「2名ですけど大丈夫ですか?」
といった感じでこちらの人数を伝えましょう。

席が空いていればお店側から
「大丈夫です。どうぞ」
と、なにかしら返してもらえると思います。

「こちらの席にどうぞ」と席を指定されれば、言われた通り指定された場所に座りましょう。
特に指定されなければ、空いているところに座りましょう。

注意点としては、自分の荷物やアウターは出来るだけカウンター(テーブル)の上や、自分が座る隣の椅子の上などには置かないようにしましょう。

小さな席数の少ないバーでは、1席のやりくりが重要になってきます。
にも拘わらず荷物のために1席つぶれてしまうと、その後来られるお客様のやりくりが難しくなってくるお店の事情があります。

荷物や上着は、荷物置きや荷物用の棚があればそちらに。
もしくは自分の椅子の背もたれに引っ掛けたり、お店によってはそれぞれの席のカウンター下に荷物用のフックがあるのでそちらに掛けてもらうとよいと思います。

どうしても荷物の置き場所が無い場合は、お店の方に
「椅子に置いても良いですか」
と了解をとりましょう。

同じように席のやりくりといった理由で、テーブル席に座る場合、4名席と2名席があったとして、こちらが2名の場合は、特に指定されなかったとしても基本的には2名席に座るようにしましょう。

注文をする

いよいよ注文したいところですが、バーに慣れていない方にとって最大とも言える問題はメニューを置いていないバーが多いのです・・・。

そんな時は素直に自分今まで飲んだ中で好きなお酒を頼んでみましょう。
「ジントニックありますか」
みたいな感じで。
(さすがにジントニックはだいたいのお店であると思いますが)

メニューがあるお店であればその中から、好きなものを選びましょう。

数少ない知っているお酒を頼んでみたら無かった!
メニューをみても全然わからない!
といった時は素直に
「お酒詳しくないんですけど、アルコール度数は低くてオレンジジュース使ったカクテルとか出来ますか」
といった感じで、好みを伝えてみましょう。

メニューが無いとき、お酒がわからない時の注文についてはこちらの記事に詳しく書いています⇒【初めてのバー】メニューが無い時やお酒がわからない時の注文方法3パターン

●1杯目の注意点

注文時の注意点としては、特に二人以上で入店した際、1杯目はあまり作るのに面倒なカクテルなどはやめておきましょう。

理由は、1杯目は基本的に全員同時提供を行うのですが、カクテルのほとんどは、時間とともに氷が溶けたりぬるくなったり、炭酸が抜けたりしておいしくなくなっていく飲み物であるため、一人が時間のかかるカクテルを注文することで、別の人の分のカクテルが時間が経ち美味しくなくなってしまうためです。

バーテンダーは出来る限り味がおちないような工程を考えて複数のカクテルを同時に作りますが、それでも1杯ずつ作るようにはいかないものです。

どんなのが手間のかからないカクテルかわからない!といった時は、居酒屋チェーンのドリンクメニューを思い出してみてください。
モスコミュールとかカシオレとかレッドアイとか・・・
居酒屋さんで出しているカクテルは比較的どれも簡単に出せるカクテルと考えたらよいと思います。

●2杯目以降の注文

2杯目以降は、自分が飲み終わったタイミングで次を注文しましょう。
日本人的な気遣いで自分は飲み終わっても、お連れ様が飲み終わるまで待って一緒に2杯目も注文しようとされる方もいらっしゃいますが、上記の通り、カクテルは時間とともに美味しくなくなる、つまり複数同時に作るよりも一つ作ってすぐ出された方がおいしく飲めます。

お会計をする

さぁそろそろ出ようか、となれば"お会計"となります。

カウンター中心の小規模なバーでは、座っている席でそのまま会計を行います。
その場で、バーテンダーなどに
「お会計お願いします」
と伝えれば、合計金額を記載した伝票を渡されるのでその金額を支払いましょう。

会計に関しては別記事でも詳しく書いていますので良ければご参考ください⇒【バー入門】会計の言い方、スマートな仕方は?「あおいそ」は実は言わない方が良い?

お店を出る

会計が終われば、荷物を持って店を出ましょう。

注意点は、荷物を忘れない事!です。
当たり前のようですが、人はお酒が入ると結構忘れ物をしてしまいます。

傘は忘れがちな物の定番ですが、携帯電話や財布、冬なのにアウターを忘れたり、かばんを丸ごと忘れて手ぶらで帰ってしまう方もいらっしゃいます・・・・。

忘れ物の扱いはお店としても結構困るので、くれぐれも忘れ物の無いように、気持ちよく帰りましょう。

もしそのお店が気に入ったり良い接客をしてもらえたと思うなら、
バーテンダーの立場からすると
「ごちそうさま」
なんて一言いただけたら非常に有難いものなので、帰り際に一言声をかけてみてください。

最後に

今回は、初めてバーに行く方向けに、入店から注文、会計そして退店までを解説いたしました。
お酒の事を何も知らなくても問題ないですし、特別難しい事はなかったと思いますが、いかがでしょう。

細かいマナーとかは気にする必要はありませんし、自分のためだけの場所ではない事だけ意識して、あとは気楽にドアを開けてみましょう。

世の中色んなバーがあるので、合う合わないはあるかもしれませんが、そんな違いも楽しみながら、バー巡りを続けて自分にとって居心地の良いお店を見つけましょう!

ウイスキーが出来るまで。製造工程を解説。

【ウイスキーは穀物を原料とした蒸留酒】と説明されたりしますが、実際には非常に多くの工程と時間をかけて作られています。

今回は、大麦で作られるモルトウイスキーを例として、ウイスキーが出来るまでを解説いたします。

①製麦(モルティング)

【製麦】は、この後に出てくる、"発酵"という工程で、酵母菌によって糖分をアルコールに変化させますが、大麦自体はでんぷん質(糖分が連なって大きすぎて酵母菌が活動できない状態)のため、酵素を使ってでんぷんを糖分に分解させる必要があるのですが、この大麦から酵素をつくる作業が、製麦となります。

大麦を水に浸すと、芽が出て発芽し、ある程度芽が出てきたところで発芽を止めるため乾燥させます。

この発芽した状態を、大麦麦芽又はモルトと言い、大麦の中にデンプンを分解するための酵素が作られます。

この乾燥には、炭や薪、ガスで火を焚いて行います。
他にも、ピート(泥炭)という、土からとりだした炭のようなものを使って火を炊くと、独特のヨードやスモーキーな風味のウイスキーになります。ピートを炊いて作られた大麦麦芽をピーテッドモルトなどと呼びます。

②糖化・ろ過(マッシング)

【糖化】は、①の製麦で作られた、大麦麦芽(モルト)の酵素を使って、でんぷんを酵母が活動できる糖に変化させる工程となります。

作業は、大麦麦芽を粉砕し60~65℃の温水に浸し、かき混ぜます。
温水に浸されることで酵素が活動し、デンプンが分解され糖分(麦芽糖)に変わります。
これをろ過し、余計な麦芽のカスなどを取り除いて作られたものを、麦汁と呼びます。

③発酵

この【発酵】の工程で、ついにアルコールとなります。

②の糖化で作られた、麦汁に酵母という菌の一種を加えます。
この酵母は、菌なので生きており、餌も食べるわけですが、酵母菌の餌となるのが糖です。
酵母菌は、餌である糖を食べ、代わりにアルコールと二酸化炭素を排出します。

つまり、酵母菌により麦汁の中の糖がアルコールへと変化していくわけです。

この麦汁が発酵された状態を"もろみ"と呼び、アルコール度数は7%程度となります。

ちなみにビールは、同じ大麦を原料とした醸造酒であり、この時点ではビールに近い状態と言えます。
(ビールはこれに加えてホップなどを添加します)

④蒸留

蒸留は、発酵で作られた"もろみ"から、香味成分とアルコール度数の高い液体を抽出する作業となります。

仕組みは、アルコールの沸点が78℃で水の沸点である100℃より低い性質を利用します。

蒸留器と呼ばれる、銅製の大きな窯のようなものの中にもろみを入れ、アルコールの沸点以上、水の沸点に達さない範囲で加熱することでアルコールが先に水蒸気となりその水蒸気を冷却し再び液体にすることで、香味成分とアルコール度数の高い液体を抽出します。

とはいえ、1回の蒸留では、アルコール度数は20度程度であるため、通常は2回か3回繰り返し蒸留を行い、60~70度程度までアルコール度数を上げます。
蒸留の回数3回と2回では、3回蒸留をした場合は、より雑味が少なくすっきりとした味わいになり、2回だけの蒸留ではより個性の強いウイスキーとなる傾向があります。

また、蒸留器の形や加熱方法などでも風味は変化してきます。

この工程で作られたアルコール度数の高い液体を"ニューポット"と呼びます。

⑤熟成

熟成では、蒸留することで作られた、ニューポットを樽に入れ、長期間貯蔵します。

ニューポットは無色透明ですが、熟成されることで樽の成分がうつり、琥珀色へ変化します。
色だけでなく、味や香りも熟成期間と共に変化していき、熟成期間が長いほどアルコールの角もとれ、まろやかな風味になる傾向があります。

樽の木材には、ホワイトークやスパニッシュオーク、ミズナラなどがよく使われます。
またワインやシェリー酒の熟成に使った樽を使いまわしたり、新樽の場合、内側を火で炙り焦がした樽を使うなど、樽によってもウイスキーの個性が左右されていきます。

⑥加水・ヴァッティング(ブレンド)

熟成されたウイスキーは、このままではアルコール度数が非常に高いため、40度~50度程度になるように加水され、ヴァッティングという作業を行います。

ヴァッティングとは、多くの樽で熟成されているウイスキーから、風味の調整をするためにブレンドする事を言います。
シングルモルトウイスキーは、一つの蒸留所内で熟成された樽からヴァッティングを行い、ブレンデッドモルトウイスキーでは、複数の蒸留所で熟成された樽からヴァッティングします。

この作業はブレンダーと呼ばれる特別な技能を持った一部の技師によって行われ、ウイスキー作りの中でも花形の仕事と言えます。

また、樽ごとの個性を楽しむために、あえて、ブレンドせずに一つの樽からのみで瓶詰めされたものもあり、これを"シングルカスク"と呼びます。

ヴァッティングを行われたウイスキーは瓶詰され出荷となり、晴れて私たちの手に渡るようになります。

バーや居酒屋で『しないほうが良い5つの話題』

バーや居酒屋などのお酒の席では、一緒に来たお連れ様だけでなく、時には他のお客様と話しが盛り上がったりすることがあります。
お酒も進んでくると、さらに相手のことを知りたいと思ったり、自分の思いを聞いてほしいといった気持ちも強くなってきます。

ですが、最後まで気持ちよく過ごすためには、避けた方が良い話題もあります。

今日のテーマはそんな【お酒の席でしない方が良い話題】です!

政治や宗教

お酒の席でしない方が良い話題、の定番ですね。
政治や宗教というのは、それぞれの出自や生きてきた背景、現在の環境によって考え方が違ってきます。

そしてその違いは、どちらが正しいとか間違っているとも言えません。
強いて言えば、皆それぞれ自分が正しいと思って、思想や信仰を持っているわけです。

政治や宗教の話題になるとどうしても、他の意見を否定するような話になりがちです。
そんな時、自分と違う意見や信仰を持っている人がその場にいた時、大きなトラブルになりかねません。

トラブルにならなくても、みんなが楽しい場、では無くなってしまうでしょう。

スポーツなどで特定のチームを応援

スポーツでどこを応援しているか、これも正解が無い話題です。
野球、サッカーなどの特に国内リーグの話題は気を付けましょう。
少なくとも、他者を悪く言うことは絶対に避けましょう。

宗教と同じで、それぞれ信じるものを応援しているわけです。

大阪だからと言って、全員が阪神タイガースファンとは限りません。
東京の飲食店であっても、お客様は全国各地から地元を愛しながらも上京してきたり、出張中の方もたくさんいるわけです。

そしてこの手の話は、一度火が付くと皆熱くなりやすく、異なる意見に対しては、喧嘩にすらなりやすい話題でもあります。

国内リーグではなく、ワールドカップやオリンピックなどの国際大会で日本を応援する話題はリスクは少ないと思いますが、それでもまわりに海外のチームを応援されている方がいないかといった配慮はしましょう。

年齢や住所など細かい個人情報

少し話が盛り上がり仲良くなりだすと、つい聞きたくなるのが「いくつ?」と年齢の話です。

年齢を聞かれても、なんとも思わない方ももちろんいらっしゃいますが、あまり聞かれたくない方も多くいらっしゃいます。

それ以外にも、細かい住所や勤めている会社、個人の特定につながるような個人情報を聞き出そうとするのはやめておきましょう。

年齢不詳でいいじゃないですか!
名前はあだ名しか知らなくてもよいじゃないですか!

マジメな商談やなにかの面接で来ているわけでは無く、堅い事は抜きにして、ただただ気楽に会話を楽しみたいのなら、あまり相手のことを詮索するのはやめておきましょう。

実名で人や会社の悪口

バーカウンターに立たせていただいているとよくわかるのですが、お酒が入った時に最も多い話題が、人や会社の悪口です。

普段色々とストレスを抱えて、お酒を飲んでいる時ぐらいそんな日々溜まった思いを吐き出したい気持ちはよくわかります。
度を越えなければ、それ自体は悪いことだとは思いません。

ただ、実名で人の名前や、自社・他社の社名をあげるのは控えましょう。

「壁に耳あり障子に目あり」なんて言葉があります。

ふと口にした名前や社名、実は他の席にいるお客様も、ご存じだったりお付き合いがあったり、もしかしたらその会社の関係者、なんてことも意外とあるんです。

直接関係なくても、人伝いに話題というのは伝わっていったりもします。
「そういや、この前行ったバーで他の客がお前の会社の話してたで~」みたいな感じで。
ホント世間は狭いのです。

他のお店を悪く言う

ある意味、お客様のお気遣い、そしてリップサービスというのもあるのだと思いますが、お客様がお店のことを褒めてくださったりします。
これ自体は、店の人間としては非常に有難いことです。

ただその時、引き合いに
「あそこの〇〇っていう店は良くなかった」
「このお店はちゃんとしてるけど、あのお店は全然出来ていない!」
といった具合に、他の店を店名を出して悪く言う事は避けましょう。

飲食店同士、特に近所同士というのは結構お付き合いがあったりします。
そして、外から見ると競合店で他店を悪く言っても大丈夫なようでも、実は意外とお店同士、仲が良かったりもします。
下手したら実は系列店なんてこともあります。

実際、私も大阪梅田のお初天神という場所でバーをさせていただいてますが、この周りもバーはたくさんありますが、競合というよりはこの近辺は老舗が多く私は比較的後発なのもあって、他のお店に対しては勉強させていただいている先輩であり、この地域を一緒に盛り上げている仲間という意識をもっています。

そんな先輩や仲間のお店を悪く言われた日には、非常に複雑な思いになりざるを得ません。
※実際に言われたわけではありません!

また、他の席にお客様がいらっしゃったら、その近辺でよく飲まれている場合はよくあり、話題に出たお店の常連かもしれません。
そこから、どんな伝わり方をしていくかもわかりません。

これもまた「壁に耳あり障子に目あり」なんです。

最後に

お酒を飲むと開放的になり、ついあれやこれやと話して気持ちよくなってしまいます。
これは、お酒の良いところだと思いますし、バーや居酒屋の存在意義でもあると思います。

ただ、そんな時、自分だけ気持ちよくなって、他の人たちの気分を害していないか、少しだけ心に残しておきましょう。
そうすれば自分だけでなく他の人たちにとっても楽しい場となると思います。
結果、それは自分にとっても楽しい場所であり続けるでしょう。

これが自分だけ楽しんだり、自分だけ言いたいことを言っている場、となってしまうと、いずれそこは自分にとっても楽しくない場に変化してしまいます。

お酒が入ると、ほんのちょっとした気持ちの持ち方で、天国にも地獄にもなります。

お酒の席がすべての人にとって天国のような場であることを心から願います。

ジャパニーズウイスキーとは?日本のウイスキーの歴史と現在のブームの背景も解説

ジャパニーズウイスキー、つまり日本のウイスキーは、もともとの世界的な評価はそれほど良くなく、スコッチなどに比べて品質が悪いとされていました。

それが、2000年以降次々と世界的賞を受賞し、日本国内だけでなく世界的に急激に人気が上がり、ここ数年は生産が追い付かず国内メーカー各社とも、あいついで休売・終売が発表されています。

今回はそんなジャパニーズウイスキーとはそもそもどんなウイスキーなのか、そして、始まりから現在の5大ウイスキーの一角となるまでの歴史や背景についてもお話していきます!

ジャパニーズウイスキーとは

ジャパニーズ・ウイスキーの定義は、スコッチ(関連記事)やバーボン(関連記事)などと違い、法律で明確に定められているわけではありません。

酒税法上は、10%ウイスキーが入っていれば、あとは他のスピリッツなどでブレンドされていてもジャパニーズウイスキーと言えてしまう程、緩いものとなっています。

また、産地の表記なども必要が無いため、海外で蒸留されたウイスキーを日本で熟成して瓶詰してもジャパニーズウイスキーとして販売が可能となっています。

つまり、国外で蒸留されたウイスキーを10%あとの90%をウォッカでブレンドしたものも日本で瓶詰めすれば、ジャパニーズウイスキーとして販売が可能となっています。

●ジャパニーズウイスキーの定義化の動き

上記のように法的に厳密な定義が無いことから、消費者へ誤解を与えてしまうなど、問題視する声が大きくなってきたことで、民間レベルでジャパニーズウイスキーの明確な定義に向けての動きが出てきました。

2019年には、ウイスキー・スピリッツの品評会である、東京ウイスキー&スピリッツコンペティションよりジャパニーズウイスキーを以下の3つカテゴリに分けて定義が発表されました。

①ジャパニーズウイスキー(日本ウイスキー)

  • 原料は穀物で、大麦麦芽の酵素または天然由来の酵素によって糖化を行う。
  • 酵母によってアルコール発酵を行う。
  • アルコール度数95%未満で蒸留を行う。
  • 熟成は木製の樽または容器で2年以上行う。
  • 瓶詰時のアルコール度数は40度以上で、色素調整のための天然カラメルの添加は認めらる。

これらを全て満たし、日本国内の蒸留所で、糖化・発酵・蒸留・熟成が行われているもの。

②ジャパニーズニューメイクウイスキー(日本ニューメイクウイスキー)

熟成期間が2年未満で、そのほかの条件は、①ジャパニーズウイスキーの条件を全て満たしているもの。

③ジャパンメイドウイスキー(日本製ウイスキー)      

外国産のウイスキーをジャパニーズウイスキーとブレンドし日本国内で瓶詰したウイスキー。
"外国産のウイスキー"については、穀物を原料とした蒸留酒で木製の樽または容器で熟成したものであること。

ジャパニーズウイスキーの種類

ジャパニーズウイスキーには、原料の違いによっても種類がわけられます。

●モルトウイスキー

大麦麦芽(モルト)のみを原料とし単式蒸留器で作られたウイスキー。
一つの蒸留所で作られたモルトウイスキーのみを瓶詰したものをシングルモルトウイスキー、複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンドして瓶詰したものを、ブレンデッドモルトウイスキー(ピュアモルトウイスキー、ヴァッテッドモルトウイスキー)と呼ぶ。

モルトのみでかつ単式蒸留のため、それぞれ個性が強く出やすいのが特徴。

●グレーンウイスキー

大麦麦芽に加えて、トウモロコシ・ライ麦・小麦など他の穀物も原料とし、連続式蒸留器で蒸留されたウイスキー。
複数の原料をブレンドしかつ連続式蒸留器で蒸留されることで、すっきりとした風味で飲みやすいのが特徴。

●ブレンデッドウイスキー

モルトウイスキーとグレーンウイスキーを複数種類ブレンドしたウイスキー。
モルトウイスキーの個性をしっかりもたせながら、グレーンウイスキーをブレンドすることで飲みやすく作られているものが多い。

ジャパニーズウイスキーの味・特徴

ジャパニーズウイスキーにも多種多様ではありますが、全体的な傾向としては、スコッチの流れを汲みながら、日本人の嗜好に合わせて飲みやすいウイスキー作りがされています。

また、ジャパニーズウイスキー広がりとともに飲み方も日本独自で発展し、ソーダ割り(ハイボール)、水割りやお湯割りといった多様な飲み方をされることも海外に比べて特徴的です。

日本のウイスキー誕生の歴史

日本にウイスキーが伝わったのは、1853年、江戸末期にアメリカ合衆国のマシュー・ペリー氏率いる艦隊が日本の開国を求めて浦賀に来た時、日本の幕府関係者にウイスキーを振舞ったり、徳川幕府に献上されたと言われています。

その後、1871年にはウイスキーの輸入が始まりましたが、明治に入ってもそれほど広まってはいませんでした。

1899年、鳥井信治郎氏により、のちにサントリーとなる、当時は洋酒の輸入販売と捏造ウイスキーを製造販売を主に行っていた、鳥居商店が創業しました。

鳥居商店は1906年には寿屋洋酒店に名前を変更し、赤玉ポートワインやトリスウイスキーといったヒット商品を出すようになりましたが、鳥居氏は、さらに純国産のウイスキー製造をするため、国内に蒸留所を建てる事を目指すようになりました。

一方、1918年、大阪府のにあった摂津酒造でも同様に純国産ウイスキーを作る計画が立ち上がり、摂津酒造の技師であった竹鶴政孝氏がウイスキー作りを学ぶためスコットランドに派遣されました。

竹鶴氏は帰国後、スコットランドで学んだ内容を報告書にまとめ会社提出しましたが、摂津酒造は資金難に陥っており、国産のウイスキー作りは断念しざるを得ず、竹鶴氏は志半ばで摂津酒造を退職する事となりました。

大正時代に入り、寿屋は蒸留所の建設のため技師を探していたところ、当初はスコットランドから技師を招く予定でしたが、スコットランドで学んでいた竹鶴氏が帰国していたことを知り、竹鶴氏も国産ウイスキー作りの夢を捨てていなかったことから、1923年に寿屋への入社が決定しました。

1924年には、寿屋は大阪府三島郡に山崎蒸留所を建設、蒸留を開始しました。
1929年、この山崎蒸留所で作られた、日本初の国産ウイスキー『白札』が販売開始、1937年には『角瓶』が発売され、国産ウイスキーの歴史が始まりました。

竹鶴氏は、1934年、当初の寿屋との契約期間10年が経ち、また竹鶴氏自身で理想のウイスキー作りを目指すため、寿屋を退職、大日本果汁(現在のニッカウヰスキー)を設立、北海道の余市に余市蒸留所を設立し、1940年にこの余市蒸留所で作られた『ニッカウヰスキー』を販売しました。

戦後も多くの国産ウイスキーが販売され、日本の復興、高度経済成長に合わせるように国産ウイスキーの需要も多少の上がり下がりはありながらも少しずつ増え続けていましたが、2010年以降は急激なブームとなり、多くのウイスキーが供給が追い付かないほどとなりました。

今や、日本国内だけでなく世界的に日本のウイスキーの人気が高まり、アイリッシュ、スコッチ、アメリカン、カナディアンと並んでジャパニーズウイスキーとして5大ウイスキーの一つとして呼ばれるようにまでなりました。

ジャパニーズウイスキーブームの理由

ジャパニーズウイスキーの誕生から、時代と共に徐々には需要が上がってきましたが、2010年に入ってからは急激な需要の増加となり、生産が追い付かず終売・休売を余儀なくされるウイスキーが多く出てきています。

このジャパニーズウイスキーブームの理由は大きく以下の3つが考え得られます。

■ハイボールブームによる需要増加
もともとウイスキーは、食事中心の1件目ではなく、ドリンク中心の2件目、3件目としてバーなどで飲まれていました。
ここにサントリーなどが、ソーダで割る(ハイボール)などで食事と合わせて飲む形でプロモーションを積極的に行い、近年の健康ブーム、糖質制限ダイエットの流れもあり、1件目の食事と一緒にハイボールを飲むという文化が定着しました。

NHK朝ドラ『マッサン』による認知効果
2014年から2015年にかけてNHKで放送された朝の連続テレビ小説『マッサン』でニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝氏が取り上げられたことで、それまでウイスキーに馴染みがなかった人たちにも、ニッカウヰスキーをはじめ国産ウイスキーが認知されるようになりました。

世界的賞の受賞により海外での需要の高まり
2000年以降、ニッカウヰスキーやサントリーのウイスキーを中心に、世界レベルの権威ある賞を毎年のように受賞するようになりました。
これにより、それまで日本のウイスキーはそれほど評価が高くなかった海外でも、見直され多く飲まれるようになりました。

ウイスキー作りには、どうしても熟成期間が必要なこともあり、10年、20年先を見て作る必要がありますが、あまりにも急激なブームのだったため、生産計画とズレが出来てしまい、現在の供給不足という結果になっています。

現在各社とも、増産に動いていますが、世の中に出回るにはまだ数年から10年程度かかる見込みです。

代表的なジャパニーズウイスキーの銘柄

●響

2004年のISC金賞(響21年)、最高賞(響30年)の受賞に始まり、毎年のように世界的賞を受賞し続けていた、日本を代表するブレンデッドウイスキーです。

山崎蒸留所、白州蒸留所のモルトウイスキーと知多蒸留所のグレーンウイスキーをブレンドしており、味はフルーティで甘みのある味にほんのりとスモーキーに、香りはコルクを抜いた瞬間から一気に華やかで甘い香りにつつまれます。

現在のラインナップは、サントリーの公式ホームページ上では、
ノンエイジのジャパニーズハーモニー、ブレンダーズチョイスと、響21年、響30年となっていますが、いずれも品不足気味となっています。

●山崎

山崎蒸留所で作られているシングルモルトウイスキー。
発売当初、日本ではブレンデッドウイスキー全盛で一部の愛好家に飲まれる程度にとどまっていましたが、徐々に山崎の良さが受け入れられ人気が出るようになりました。
ジャパニーズシングルモルトウイスキーの牽引役のような存在とも言えます。

バニラやシナモンのような甘味と桃のような甘くフルーティな香りが特徴。

現在のラインナップは
ノンエイジの山崎と、山崎12年、山崎18年、山崎25年。

●竹鶴

ニッカウヰスキーの創業者の名前が付けられた"ピュアモルトウイスキー"

ピュアモルトウイスキーとは、複数の蒸留所で作られたモルトウイスキーをブレンドして作られたものを指します。
モルトウイスキーでありながら、ブレンドされることで非常に飲みやすいのが特徴。

味は梨のようなフルーティさの奥に余市蒸留所のウイスキーを連想させるスパイシーさをかすかに感じます。

2020年3月でそれまでのラインナップであった、
竹鶴17年、竹鶴21年、竹鶴25年が休売、ノンエイジの竹鶴がリニューアルされます。

竹鶴についてはこちらの記事に詳しく書いています⇒ウイスキー竹鶴とは。終売の背景と竹鶴氏・ニッカウヰスキーについても解説。

カナディアンウイスキーとは。味の特徴や歴史を解説。

世界5大ウイスキーの一つ、カナディアンウイスキーをご存知でしょうか。

バーボンやスコッチは聞いたことあっても、カナディアンは聞いたことない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は世界で2番目の生産量を誇り、多くの人々に愛されているウイスキーでもあるのです。

今回は、そんなカナディアンウイスキーの特徴や現在のように世界で広まった歴史についてお話しいたします!

カナディアンウイスキーとは

カナディアンウイスキーは一言でいうと、"カナディアン"つまり、カナダのウイスキーを指します。

もう少し明確には、カナダの法律で主に以下のように定義されています。

  • 穀類のみを原料としている
  • カナダ国内で、糖化、アルコール発酵、蒸留が行われている
  • カナダ国内で木製の樽にて最低3年以上熟成されている
  • 瓶に詰められた時点でのアルコール度数は40度以上である
  • カラメルまたは香味(フレーバリング)は添加しても良い

これらの条件をクリアすることで、カナディアンウイスキーと名乗ることが出来ます。

●カナディアンウイスキーの味わい・特徴

カナディアンウイスキーの味の特徴は、とにかくマイルドで飲みやすい事。
アルコールの角やキツさが非常に少なく、どんどん飲めてしまう印象です。

クセがほぼ無いので、特にウイスキー初心者の方には、カナディアンウイスキーから初めてみるのが良いと思います!

●カナディアンウイスキーの種類

カナディアンウイスキーには大きく以下の種類があります。

・ベースウイスキー

主にトウモロコシを原料として、連続式蒸留器で蒸留を行われており、風味はべースウイスキーだけではほぼ個性がありません。
上記のカナディアンウイスキーの法律上の定義で、『香味(フレーバリング)は添加しても良い』とありましたが、このフレーバリングのために使われるウイスキーのため"ベース"と呼ばれています。

・フレーバリングウイスキー

ライ麦や大麦など麦類を原料としており、フレーバリングという名前の通り、麦が持つ香りや油っぽさを持ち、しっかりと個性のあるウイスキーです。
このフレーバリングウイスキーで言う"フレーバリング"は、上記のベースウイスキーに香味などを添加するフレーバリングとは別となります。

・カナディアンブレンデッドウイスキー

上記の、ベースウイスキーとフレーバリングウイスキーをブレンドしたウイスキーとなります。
ほとんどのカナディアンウイスキーは、このカナディアンブレンデッドウイスキーとなり、ベースウイスキーにどのようにフレーバリングするかや、さらにフレーバリングウイスキーとの割合などでそれぞれの個性が作られていると言えます。

●カナディアンウイスキーの歴史

カナディアンウイスキーの始まりは、はっきりとした史料などはありませんが、18世紀後半ごろと言われています。

この頃からカナダは、農業大国であり穀物が多く作られていました。
この豊富な穀物を元に、農家が副業としてウイスキー作りを始めたものがカナディアンウイスキーの始まりとなります。

その後、ウイスキー作りを専業とする蒸留所も増え、19世紀に入る頃には200以上も蒸留所があったとされています。
しかし、このころのウイスキーはほとんど熟成されず蒸留後すぐに出荷されており、「one day whisky」と言われるほど品質も良くありませんでした。

19世紀後半になると、連続式蒸留器の導入やそれまで麦類が主な原料だったところに、トウモロコシも使用されるようになるなど、現在のカナディアンウイスキーに近いものが作られるようになりました。

カナディアンウイスキーの大きな転機は1920年、隣の国でありウイスキーの世界最大の消費国でもあったアメリカ合衆国で禁酒法を施行されたことです。
これによりアメリカ国内でのお酒の製造や輸送が出来なくなり、また輸入も禁止されるようになりました。

禁酒法により、アメリカ国内のウイスキー産業は衰退し、それまでよく飲まれていたアイリッシュウイスキーも輸入が出来なくなってしまった中、代わりにカナディアンウイスキーは密かにアメリカに持ち込まれ飲まれるようになりました。

アメリカ国内でのウイスキーの製造や、海外からの船での密輸は摘発されるリスクが大きかったのに対して、カナダ国内では合法的にウイスキー作りが行え、アメリカ合衆国とは隣接している面積も大きく、アメリカ国内への密輸がしやすかったことで、いっきにカナディアンウイスキーが広まりました。

その後1933年に禁酒法は撤廃されましたが、一度作らなくなったアメリカ国内のウイスキーはすぐに販売できる状態ではなく、カナディアンウイスキーの特徴である、クセがなく飲みやすいところが、アメリカ人にも受けた事もあり、正規の輸入品として愛され、ここから世界的にも広く飲まれるようになっていきました。

第二次世界大戦後も、カナディアンウイスキーは好調を維持していましたが、1980年代カナダ国内でのアルコールに対する販売の規制や課税が厳しくなり、カナディアンウイスキーにとっては厳しい状況が続いていましたが、一度広まったカナディアンウイスキーは現在も世界的に支持されており、近年はまた復活の兆しが見えてきています。

代表的なカナディアンウイスキー、カナディアンクラブ

日本でカナディアンウイスキーといえば、だれもがこのカナディアンクラブを思い出すと思います。
略してCC(シーシー)と言われたりもします。

カナディアンクラブの誕生は1858年、アメリカの禁酒法が施行されるよりも前に、それまで樽単位の販売だったものをボトルで販売したり、保証書をつけ品質の良さをアピールすることで、人気を得ていました。

当初は「one day whisky」とも言われるほど粗悪とされていた当時のカナディアンウイスキーの中で、カナディアンクラブの信頼と味はアメリカで不動の人気となり、禁酒法時代、世界大戦後、そして今に至るまで愛されているウイスキーとなります。

カナディアンクラブは、カナディアンウイスキーの例に漏れず、まろやかで飲みやすく、バニラのようなリッチな甘さと、柑橘系の華やかな香りが特徴となります。
1にも2にも飲みやすく、そして華やかさがあり、アルコールの感じが苦手な方や、すっきりと飲みたい方に特におすすめできます。

中でも「カナディアンクラブ クラシック12年」は、上記のようなカナディアンらしい特徴をしっかりと持ち、そしてリーズナブルでコストパフォーマンスの素晴らしいウイスキーとしてよくおすすめさせていただいています。

ウイスキー竹鶴とは。終売の背景と竹鶴氏・ニッカウヰスキーについても解説。

つい先日、国産の人気ウイスキー、竹鶴の17年、21年、25年の3月末での終売が発表されました。
また、ノンエイジの竹鶴も同時期にリニューアルされるそうです。

今回は、人気がありながら終売が決定されたウイスキー竹鶴と終売の背景、そして製造メーカーであるニッカウヰスキーや創業者の竹鶴政孝氏についてもお話ししていきたいと思います。

竹鶴とは

竹鶴はニッカウヰスキーが「ブレンデッドウイスキーのように飲みやすいピュアモルトウイスキー」を目標に開発・製造したジャパニーズウイスキーです。

ウイスキーの名前でもある"竹鶴"は、ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝氏からとられており、ニッカウヰスキーはもとより日本を代表するウイスキーの一つとなっています。

●ピュアモルトとは。シングルモルトとの違いは?

竹鶴のラベルには"竹鶴"の文字の下に大きく【PURE MALT】と表記されています。
ピュアモルトとは、原料にモルト(大麦麦芽)のみを使用したウイスキーを指します。

シングルモルトとの違いは、シングルモルトは一つの蒸留所(シングル)で製造されたウイスキーのみで瓶詰されているのに対して、ピュアモルトは、複数の蒸留所で作られたモルトウイスキーをブレンドして作られています。

複数の蒸留所のウイスキーを混ぜてますが、100%モルトなので【ピュアモルト】というわけです。

竹鶴については、北海道の余市蒸留所、宮崎県の宮城峡蒸留所などのモルトウイスキーがブレンドされていると言われてます。
(はっきりとは公表されていません)

世界的には、現在はピュアモルトウイスキーではなく、"ブレンデッドモルトウイスキー"と言われることが一般的となっており、そのほか"ヴァッテッドモルトウイスキー"と言われることもあります。

●竹鶴の味・特徴

「ブレンデッドウイスキーのように飲みやすいピュアモルトウイスキー」という開発目標の通り、アルコールの角が少なく、ほのかな果実の風味を感じ、雑味などもなくすっきりと飲みやすくそして華やかさのあるウイスキーとなっています。

当店では、ウイスキーに飲み慣れていない方で、でもウイスキーに興味を持たれている方にもよくお勧めしています。
じゃあ、ウイスキーに飲み慣れた人は満足出来ないかというと、そんなことはなく、飲みやすいながらも余市の特徴でもある力強さと、 宮城峡の特徴である、果実の風味がある華やかさが絶妙なバランスでうまくブレンドされており感心していただけると思います。

複数の蒸留所のウイスキーを混ぜる事で、アルコールの角が少なくなり、まろやかになる事が活かされた"ピュアモルト"らしい風味とも言えます。

●竹鶴終売の背景

終売の理由は、"原酒の在庫不足"と発表されています。
原酒不足、つまりは人気が出てきて、生産が追い付かないため、販売が出来なくなってしまったわけです。

人気が出てきた理由としては

  • 国際的賞の受賞などで、海外でのジャパニーズウイスキーの需要が増えている
  • NHKの朝ドラ「マッサン」により国内需要も高まる

といったことが重なり、この数年急激に人気が出てきました。
私も一昨年、余市蒸留所に見学に行った際、平日にもかかわらず人が多く、中でも中国の方が非常に多く来られていた事に驚いたのを覚えています。

では、すぐに生産量を増やして販売すればいいじゃないか、というとそう簡単でもなく、難しい経営判断が迫られます。
主な課題として以下の2点があげられます。

・生産量の増強には大きな投資が必要

ウイスキーを作るには、糖化・アルコール発酵・蒸留といった複雑な工程があり、それぞれに大掛かりな設備が必要となります。
これらを新たに増やすには、多大な資金と時間がかかります。

・ウイスキー作りには莫大な時間がかかる

ウイスキーの蒸留までが出来たとして、ウイスキーはそこからさらに樽に詰めて熟成を行います。
この熟成期間がそのまま商品名に"17年"や"21年"と入りますが、逆に言うと竹鶴17年は、最低でも17年の熟成が必要になるわけです。

これら二つの理由により、ウイスキー作りには、10年後、20年後の需要を予測しながら今、大きな投資をするかどうかという非常に難しい経営判断が必要となります。

莫大な投資を行い、労力と時間をかけて生産能力を増やしたとして、販売される10年後20年後に今以上に需要が無ければ、その投資は無駄となり、場合によっては会社の存続危機にもなってしまいます。

現在の原酒不足も、ここ数年の急激な人気上昇によるもので、竹鶴の販売が開始された20年ほど前(2000年)には今のような状況を論理的に予測できた人はいないのではないでしょうか。

現在、ニッカウヰスキーは生産設備の増強をすすめていますが、この増強により作られたウイスキーが世に出るのはまだ先となると考えられます。

ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝氏とは

竹鶴政孝氏は"日本のウイスキーの父"とも呼ばれ、日本で純国産ウイスキー作りを定着させた功労者でもあります。

1894年6月20日、広島県の酒造業を営む家の三男として生まれました。

竹鶴氏は、大阪高等工業学校(現大阪大学)の醸造科で学び、大阪府内の摂津酒造(その後、宝酒造と合併)に入社し、洋酒部門に配属されました。
当時、日本では純国産のウイスキーは作られておらずノウハウも無かった事から、会社の命で、スコットランドにウイスキー作りを学ぶため留学。

帰国後、摂津酒造にて純国産のウイスキー作りを始めようとしましたが、会社の資金難により純国産ウイスキー作りは叶わず1922年に退社しました。

退社後、一時期は化学の教師となっていましたが、1923年、洋酒の製造販売をしている寿屋(現サントリー)が国産ウイスキーの製造を企画した際、スコットランドでウイスキー作りを学んでいた竹鶴氏を招きいれました。

竹鶴氏は、山崎蒸留所の初代所長になるなどウイスキー作りに励む一方、後輩技師の教育にも尽力し1933年寿屋を退社、1934年に自ら大日本果汁(現ニッカウヰスキー)を設立しました。

ニッカウヰスキーとは

竹鶴政孝氏は、寿屋を退社後、自分がウイスキー作りを学んだスコットランドと気候が近い北海道余市で、大日本果汁(現ニッカウヰスキー)を創業しました。

大日本果汁の由来は、ウイスキー作りには、生産開始から販売まで少なくとも数年はかかるため、それまでの間、地元余市の特産であったリンゴをつかったジュースなどを生産販売していたため、"大日本果汁"という社名となりました。

1940年には、ウイスキーの販売を開始。このウイスキーの名前を、リンゴジュースの商品名に『日果』としていたことから、『ニッカウヰスキー』と名付けました。
1952年には、社名もニッカウヰスキーに変更されました。

ちなみに、社名に入る"ヰ"は、ウイスキー作りには水が欠かせない事から漢字の井戸の"井"を使おうとしたが、当時カタカナと漢字を合わせた社名は登記ができなかったため、見た目が似ていてカタカナとして使われていた"ヰ"を使用したそうです。

その後、ニッカウヰスキーは多くのウイスキーを世に出し続け、1979年創業者である竹鶴氏はこの世を去りますが、その意思を受けついだ後輩技師たちによって2000年にウイスキーの竹鶴が販売されました。

最後に

ここまでウイスキー竹鶴と、その名前の由来となった竹鶴政孝氏、製造メーカーのニッカウヰスキーについてお話してきました。

竹鶴というウイスキーには、日本のウイスキーの歴史とも言える多くの背景が詰まっていることがわかっていただけたのではないでしょうか。

また、純粋に味を楽しむという意味でも、飲みやすく優しい華やかさがあり、バランスが良くすばらしいウイスキーであると感じさせてくれます。

素晴らしいウイスキーだからこそ、そのレベルに達さないものを販売するわけにもいかず、ニッカウヰスキーにとっても苦渋の判断だったと思いますが、今回終売という残念なニュースが発表されました。
当店でも、おそらく今残っている17年、21年がいったん最後になると思います。

ノンエイジの竹鶴についても、リニューアルということでいくらか中身が変わる可能性がありますが、おそらく竹鶴という名前に負けない素晴らしいものを販売し続けてくれると信じています。

いつの日か、また素晴らしくなった17年や21年に出会える日を楽しみにしながら、竹鶴を飲み続けたいと思います。

この時期しか出来ない楽しみ方としては、ノンエイジの新旧飲み比べなんてのも面白いのではないでしょうか!