カナディアンウイスキーとは。味の特徴や歴史を解説。

世界5大ウイスキーの一つ、カナディアンウイスキーをご存知でしょうか。

バーボンやスコッチは聞いたことあっても、カナディアンは聞いたことない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は世界で2番目の生産量を誇り、多くの人々に愛されているウイスキーでもあるのです。

今回は、そんなカナディアンウイスキーの特徴や現在のように世界で広まった歴史についてお話しいたします!

カナディアンウイスキーとは

カナディアンウイスキーは一言でいうと、"カナディアン"つまり、カナダのウイスキーを指します。

もう少し明確には、カナダの法律で主に以下のように定義されています。

  • 穀類のみを原料としている
  • カナダ国内で、糖化、アルコール発酵、蒸留が行われている
  • カナダ国内で木製の樽にて最低3年以上熟成されている
  • 瓶に詰められた時点でのアルコール度数は40度以上である
  • カラメルまたは香味(フレーバリング)は添加しても良い

これらの条件をクリアすることで、カナディアンウイスキーと名乗ることが出来ます。

●カナディアンウイスキーの味わい・特徴

カナディアンウイスキーの味の特徴は、とにかくマイルドで飲みやすい事。
アルコールの角やキツさが非常に少なく、どんどん飲めてしまう印象です。

クセがほぼ無いので、特にウイスキー初心者の方には、カナディアンウイスキーから初めてみるのが良いと思います!

●カナディアンウイスキーの種類

カナディアンウイスキーには大きく以下の種類があります。

・ベースウイスキー

主にトウモロコシを原料として、連続式蒸留器で蒸留を行われており、風味はべースウイスキーだけではほぼ個性がありません。
上記のカナディアンウイスキーの法律上の定義で、『香味(フレーバリング)は添加しても良い』とありましたが、このフレーバリングのために使われるウイスキーのため"ベース"と呼ばれています。

・フレーバリングウイスキー

ライ麦や大麦など麦類を原料としており、フレーバリングという名前の通り、麦が持つ香りや油っぽさを持ち、しっかりと個性のあるウイスキーです。
このフレーバリングウイスキーで言う"フレーバリング"は、上記のベースウイスキーに香味などを添加するフレーバリングとは別となります。

・カナディアンブレンデッドウイスキー

上記の、ベースウイスキーとフレーバリングウイスキーをブレンドしたウイスキーとなります。
ほとんどのカナディアンウイスキーは、このカナディアンブレンデッドウイスキーとなり、ベースウイスキーにどのようにフレーバリングするかや、さらにフレーバリングウイスキーとの割合などでそれぞれの個性が作られていると言えます。

●カナディアンウイスキーの歴史

カナディアンウイスキーの始まりは、はっきりとした史料などはありませんが、18世紀後半ごろと言われています。

この頃からカナダは、農業大国であり穀物が多く作られていました。
この豊富な穀物を元に、農家が副業としてウイスキー作りを始めたものがカナディアンウイスキーの始まりとなります。

その後、ウイスキー作りを専業とする蒸留所も増え、19世紀に入る頃には200以上も蒸留所があったとされています。
しかし、このころのウイスキーはほとんど熟成されず蒸留後すぐに出荷されており、「one day whisky」と言われるほど品質も良くありませんでした。

19世紀後半になると、連続式蒸留器の導入やそれまで麦類が主な原料だったところに、トウモロコシも使用されるようになるなど、現在のカナディアンウイスキーに近いものが作られるようになりました。

カナディアンウイスキーの大きな転機は1920年、隣の国でありウイスキーの世界最大の消費国でもあったアメリカ合衆国で禁酒法を施行されたことです。
これによりアメリカ国内でのお酒の製造や輸送が出来なくなり、また輸入も禁止されるようになりました。

禁酒法により、アメリカ国内のウイスキー産業は衰退し、それまでよく飲まれていたアイリッシュウイスキーも輸入が出来なくなってしまった中、代わりにカナディアンウイスキーは密かにアメリカに持ち込まれ飲まれるようになりました。

アメリカ国内でのウイスキーの製造や、海外からの船での密輸は摘発されるリスクが大きかったのに対して、カナダ国内では合法的にウイスキー作りが行え、アメリカ合衆国とは隣接している面積も大きく、アメリカ国内への密輸がしやすかったことで、いっきにカナディアンウイスキーが広まりました。

その後1933年に禁酒法は撤廃されましたが、一度作らなくなったアメリカ国内のウイスキーはすぐに販売できる状態ではなく、カナディアンウイスキーの特徴である、クセがなく飲みやすいところが、アメリカ人にも受けた事もあり、正規の輸入品として愛され、ここから世界的にも広く飲まれるようになっていきました。

第二次世界大戦後も、カナディアンウイスキーは好調を維持していましたが、1980年代カナダ国内でのアルコールに対する販売の規制や課税が厳しくなり、カナディアンウイスキーにとっては厳しい状況が続いていましたが、一度広まったカナディアンウイスキーは現在も世界的に支持されており、近年はまた復活の兆しが見えてきています。

代表的なカナディアンウイスキー、カナディアンクラブ

日本でカナディアンウイスキーといえば、だれもがこのカナディアンクラブを思い出すと思います。
略してCC(シーシー)と言われたりもします。

カナディアンクラブの誕生は1858年、アメリカの禁酒法が施行されるよりも前に、それまで樽単位の販売だったものをボトルで販売したり、保証書をつけ品質の良さをアピールすることで、人気を得ていました。

当初は「one day whisky」とも言われるほど粗悪とされていた当時のカナディアンウイスキーの中で、カナディアンクラブの信頼と味はアメリカで不動の人気となり、禁酒法時代、世界大戦後、そして今に至るまで愛されているウイスキーとなります。

カナディアンクラブは、カナディアンウイスキーの例に漏れず、まろやかで飲みやすく、バニラのようなリッチな甘さと、柑橘系の華やかな香りが特徴となります。
1にも2にも飲みやすく、そして華やかさがあり、アルコールの感じが苦手な方や、すっきりと飲みたい方に特におすすめできます。

中でも「カナディアンクラブ クラシック12年」は、上記のようなカナディアンらしい特徴をしっかりと持ち、そしてリーズナブルでコストパフォーマンスの素晴らしいウイスキーとしてよくおすすめさせていただいています。

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