アイリッシュウイスキーとは。おすすめのアイリッシュウイスキーも紹介。

5大ウイスキーという言葉がありますが、その中の一つ『アイリッシュウイスキー』をご存知でしょうか。

同じく5大ウイスキーでもある、スコッチやバーボンと比べると、少し知名度が劣るような気もします。
しかし、一時期までは世界でトップシェアを誇るウイスキーでした。

それがなぜ現在はスコッチなどに比べて大きくシェアで劣るようになってしまったのでしょうか。
一方で、当店でもアイリッシュウイスキーしか飲まれないといったお客様も何人もおられ、今もなお根強く愛されています。

今回は、一時代を築き時代に翻弄されながらも、今も根強く愛されているアイリッシュウイスキーについてお話いたします。

アイリッシュウイスキーとは

アイリッシュウイスキーについては、アイルランド共和国のアイリッシュウイスキー法(Irish Whiskey Act, 1980)にて定義されています。

主な内容は以下の通りです。

・アイルランド共和国ならびに北アイルランドにて、穀物の糖化、アルコール発酵、蒸留されているもの
・アイルランド共和国ならびに北アイルランド内の倉庫において、木製の樽で3年以上熟成されたもの

細かくはもっと定義がされていますが、アイルランドで作られ3年以上熟成されたウイスキーをアイリッシュウイスキーと呼んでいます。

●アイリッシュウイスキーの種類

アイリッシュウイスキーの種類として以下のようなものがあります。
モルトウイスキー、グレーンウイスキー、ブレンデッドウイスキーはスコッチでもおなじみですが、ポットスチルウイスキーはアイリッシュの特徴的な製法と言えます。

・モルトウイスキー

大麦麦芽(モルト)のみを使ったウイスキー。

・グレーンウイスキー

トウモロコシやライ麦、小麦など大麦以外の穀物(グレーン)を使ったウイスキー。

・ブレンデッドウイスキー

モルトとグレーンを混ぜた(ブレンド)したウイスキー。

・ポットスチルウイスキー

大麦麦芽(モルト)と未発芽状態の大麦を混ぜたウイスキー。
背景には、麦芽税という麦芽に対する課税があり、この負担を減らすため麦芽の割合を減らし、未発芽の大麦を混ぜるという苦肉の策から始まったわけですが、この結果、生の大麦が入ることで、オイリーで穀物の風味をしっかり感じさせてくれるアイリッシュの特徴ともいえるウイスキーが作られるようになりました。

ポットスチルウイスキーのみのウイスキーを、ピュアポットスチルウイスキー又はシングルポットスチルウイスキーと呼びます

●アイリッシュウイスキーの歴史

アイルランドでのウイスキーの始まりは諸説あります。

  • 4世紀から5世紀にかけてアイルランドにキリスト教を広めた、聖パトリックがキリスト教とともに蒸留技術を伝え、これを元に蒸留酒が作られるようになった。
  • 6世紀ごろ、アイルランドの修道僧が中東へ訪れた際に、蒸留技術を学び持ち帰り蒸留酒が作られるようになった。

いずれにしても外国から伝えられた蒸留技術を酒造に使うようになり、蒸留技術の発達とともに、ウイスキーがつくられるようになりました。

その後アイルランドのウイスキー作りはみるみる広がり、18世紀ごろには2000もの蒸留所が存在し、アイリッシュウイスキーは世界のウイスキー市場で最も飲まれるウイスキーとして広まっていました。

しかし、1920年、アイリッシュウイスキーが最も飲まれていたアメリカ合衆国で禁酒法が施行され、消費のためのアルコールの製造、販売、輸送が全面的に禁止され、このあおりを受けアイリッシュウイスキーの生産・販売規模が縮小されました。

その後、禁酒法は撤廃されたものの、第二次世界大戦時には、アイリッシュウイスキーの生産規模が縮小されたことで国内への供給を優先し輸出制限がかけられました。

その状況の中で、スコットランドから安くておいしいウイスキーとして、スコッチブレンデッドウイスキーが台頭し、大量生産技術が確立されたことも重なり、多く輸出されるようになり、アメリカを中心に世界的にスコッチウイスキーが広まっていきました。

今は、一時期に比べて蒸留所は少なくなり20に満たない蒸留所の数となりましたが、今なお、世界中に根強いファンが多くおり、5大ウイスキーの一角として一定の人気を誇っています。

●"whiskey"と"whisky"の綴りの違い

ウイスキーの綴りは、アイルランドは"whiskey"、スコットランドやその系譜を持つアメリカなどはwhiskyと記載されています。

しかし、過去にはアイリッシュウイスキーの中にもブッシュミルズなど"whisky"と表記されているものもありました。

アイルランド内で"whiskey"と統一されるようになったのは、諸説ありますが、19世紀ごろ、高品質を謳うためにプロモーションの一環で一部の蒸留所が "whisky" に"e"を入れて販売するようになり、これがアイルランド国内の蒸留所に広まったと言われています。

●アイリッシュウイスキーの特徴

アイリッシュウイスキーは、すっきりと飲みやすく、それでいてオイリーなところが特徴となります。

前述の、アイリッシュ独特の、未発芽の大麦を混ぜるポットスチルウイスキーは、モルト(大麦麦芽)100%でないことで、糖化に時間をかける必要があります。
これが結果的にオイリーな風味を生み出しています。

また、単式蒸留器で3回蒸留することで、雑味が少なくなり、すっきりとしたウイスキーとなっています。 (スコッチは2回の蒸留が一般的)

おすすめのアイリッシュウイスキー

●ジェムソン スタンダード

アイリッシュウイスキーの定番。当店でもアイリッシュの中で最も注文されているウイスキーがジェムソンです。
ミドルトン蒸留所で作られており、ポットスチルウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーです。

味は、青リンゴの風味とかすかな酸味があり、もちろんアイリッシュらしいオイリーさも合わせもっています。
後味はほとんど残らずスッキリと飲めます。

値段が手ごろで飲みやすく、アイリッシュの特徴を持っているので、初めてのアイリッシュウイスキーとしてピッタリの一本となります。

●ブラックブッシュ(ブッシュミルズ ブラック)

ブッシュミルズは、アイリッシュの特徴ともいえるの未発芽の大麦は使わずに作られています。
果実やアーモンドのような風味とスパイシーな香りがほのかにしながら、3回蒸留で作られていることで、雑味が少なく飲みやすくなっています。
ピートは使わずに作られており、スモーキーさなどはありません。

●カネマラ

カネマラは大西洋に面した海岸沿いの地名で、ここにあるクーリー蒸留所で作られています。
アイリッシュの異端児とも言われる少し特殊なアイリッシュウイスキーでもあります。

伝統的なアイリッシュウイスキーの製造方法と異なり、2回の蒸留で、さらにピート(泥炭)を焚いて麦芽の発達を止める製法で作る事から、フルーティーさとピートに含まれるヨードの風味を複雑に持ち、スモーキーさも感じさせてくれるウイスキーです。

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