
前回、バーボンウイスキーについてご紹介しましたが、今回は同じく5大ウイスキーの一つ、スコッチウイスキーについてご紹介します。
当店でも、バーボンウイスキーと並んで非常に人気があり、また種類も多く個性も幅広いため、永遠に語れるテーマでもあります。
今回は、初心者の方にもわかりやすく、そしてこれだけ知っていればそこそこウンチクとして使えるように、スコッチウイスキーについてお話いたします!
スコッチウイスキーとは
スコッチウイスキーの定義は、イギリスの法律にて以下のように定義されています。(一部)
- スコットランド内の蒸留所にて、大麦から糖化・アルコール発酵・蒸留・熟成されている
- 熟成期間が3年以上
- 瓶詰時のアルコール度数は40℃以上
細かくは他にも定義されていますが、主な特徴は上記の通りとなります。
一言で言ってしまえば、スコットランドで製造されたウイスキーを指しているわけです。
●スコッチウイスキーの歴史
スコットランドにウイスキー作りが伝わった時期ははっきりとしていませんが(12世紀から13世紀ごろの説が有力)、お隣のアイルランドからキリスト教の布教とともに伝わったとされています。
一方で、スコットランド独自でウイスキー作りが始まっていたという説もあり、現時点で、スコッチとアイリッシュどちらが最初かははきりしていません。
当初は『アクアヴィッテ(=生命の水)』というラテン語で呼ばれ、これをスコットランドで使われていたケルト系言語のゲール語では『ウシュクベーハ』と呼ばれるようになりました。
このウシュクベーハを語源に訛って『ウイスキー』という英語が誕生しました。

その後、スコットランド王国はグレートブリテン王国の一部となり、ウイスキーの課税が大幅に上がりました。
課税を逃れるため多くの蒸留所が、密造ウイスキーを作り、結果的に密造ウイスキーがあまりにも広まりすぎたため、1823年に酒税法が改正され税率が引き下げられました。
1824年にはグレンリベット蒸留所が政府公認第一号の蒸留所として認められ、その後次々とその他の蒸留所も公認となることで、密造酒は減っていきました。
密造酒という性質上、いつでも売れるというわけでは無く、長期に樽で保管する事が多く、結果、これが長期熟成としてウイスキーに香りや味をまろやかに深みを与える事になり、スコッチウイスキーの製法として確立されていきました。
シングルモルトウイスキーとブレンデッドウイスキーの違い
シングルモルトとブレンデッド、ウイスキーではよく聞く言葉ですが、この言葉は原料と蒸留所の関係が混ざり合いわかりにくくなっています。
まずはウイスキーは原料によって二つに分けられることを理解する必要があります。
●モルトウイスキーとグレーンウイスキーの違い
・モルトウイスキー
『モルト』とは大麦を指し、モルト(大麦)のみで作られたウイスキーをモルトウイスキーと呼びます。
・グレーンウイスキー
グレーンとは大麦以外の穀物で、主にトウモロコシやライ麦、小麦が使われる事が一般的で、これらグレーンでつくったウイスキーをグレーンウイスキーと呼びます。
●シングルモルトウイスキーとは
シングルモルトの"モルト"は上記の通り、大麦で作られたウイスキーという意味になります。
"シングル"は、"一つの"蒸留所でのみ製造されたウイスキーとなります。
したがって、シングルモルトウイスキーとは【一つの蒸留所で作られた大麦のみのウイスキー】という意味となります。
・シングルモルトウイスキーの特徴
一つの蒸留所でのみ作られていることから、銘柄ごとに蒸留所の個性が強く出ており、銘柄が違えば、甘口から辛口なもの、フルーティな香りからピートに強い消毒液のような香りまで、全く別物の飲み物のように風味に違いがでてきます。
●ブレンデットウイスキーとは
ブレンデッドウイスキーは、まず原料は、モルトとグレーンの両方がブレンドされています。
また、蒸留所についても、複数の蒸留所のウイスキーをブレンドし一つの瓶に詰められます。
つまるり、原料と蒸留所両方が"ブレンド"されているウイスキーとなります。
・ブレンデッドウイスキーの特徴
銘柄によって特徴はあるものの、シングルモルトに比べると、ブレンドされることで風味が均一化され、すっきりと飲みやすいという感想を持つ方が多くなります。
●ブレンデッドモルトウイスキー
ここまで話すと「複数の蒸留所で原料をモルトだけのウイスキーは無いのか」という疑問を持たれるかもしれませんが、そういったものも上記二種類に比べると少ないですが存在しています。
こういった、原料はモルトのみで複数の蒸留所のウイスキーをブレンドされたものを『ブレンデッドモルトウイスキー』と呼びます。
同じ意味で他にも『ヴァッテッドモルトウイスキー』『ピュアモルトウイスキー』という言い方がありますが、スコッチにおいては、シングルモルトと混同し、消費者に誤解を生みやすいという事で、現在は使われなくなってきており、ブレンデッドモルトウイスキーに統一されています。
スコッチウイスキーとバーボンウイスキーの違い
スコッチウイスキー同じく有名なのが、5大ウイスキーのひとつでバーボンウイスキーです。
スコッチウイスキーとバーボンウイスキーの違いには以下があげられます。
バーボンウイスキーについて詳しくはこちらにの記事で書いています⇒【ウイスキーのお話し】バーボンとは。スコッチやウイスキーとは違うのか。
●製造場所が違う
スコッチウイスキーはイギリスの法律で、スコットランド内で製造されることが定義されていますが、バーボンウイスキーはアメリカの法律で、アメリカ合衆国内で糖化・発酵・蒸留・熟成したウイスキーと定義されています。
●"ウイスキー"の綴りが違う
スコッチはWhisky
バーボンはWhiskeyと表記されます。
●原料が違う
バーボンは、51%以上がトウモロコシである必要がありますが、スコッチはトウモロコシなども使われますが、主原料は大麦(モルト)となります。
●熟成樽の違い
スコッチは、熟成に使う樽については特に定義がされておらず、個性を出すためあえてワインやシェリー酒、バーボンウイスキーの熟成に使用した中古の樽を使って熟成しています。
バーボンウイスキーは、アメリカの法律で、新品の内側をバーナーで焦がしたオーク樽を使用することが決められています。
●熟成期間の違い
スコッチは、イギリスの法律で3年以上の熟成をする必要があり、10年以上熟成しているものが一般的となっています。
バーボンは、熟成年数については特に定義されておらず、数年程度の熟成で販売されるものが多くなっています。
おすすめスコッチウイスキー
ここまで、スコッチウイスキーについてお話してきましたが、種類が多く何から飲めばよいかわからない!という方向けに、おすすめのスコッチウイスキーを3種類ご紹介します。
●デュワーズ ホワイトラベル
ブレンデッドスコッチの中でも非常に人気のウイスキーで、バーでもハウスボトルとして使っているところが多くあります。
特徴はほのかなチョコレートのような甘さがありながら、スッキリしておりハイボールが合う銘柄となっています。
また、価格もリーズナブルでコストパフォーマンスに非常に優れています。
●ラフロイグ 10年
すっきりと飲みやすいデュワーズから一転、クセを求めたければこのアイラ島で作られたシングルモルトウイスキーのラフロイグがおすすめとなります。
大麦麦芽の乾燥時に使う、泥炭(ピート)に含まれるヨードと、スモーキーな香りが飲む前から強く出ており、初めて飲んだ時は驚くかもしれません。飲む正露丸なんて言われたりもします(笑)
しかし、飲んでみると後味は意外とすっきりと飲めるのも特徴です。
好き嫌いが分かれますが、ラフロイグに一度はまると他のウイスキーは物足りないと感じてしまう不思議な飲み物です。
●グレンフィディック 12年
世界で最も売れているシングルモルトウイスキーと言われ、当店でも人気の高いウイスキーです。
香りはフルーティで洋ナシやリンゴのようなさわやかで、飲んでみても口の中が華やかなまますっきりと飲みやすくなっています。
バーボンウイスキーや、上記のラフロイグのようなのはちょっと苦手、という方も美味しく飲めると思います。
当店では、女性にも人気となっています。