【バー入門】ウイスキーのシングルやダブルの意味は?実はシングル=30mlではない!?

バーに行くと
「ダブルで」
と注文されているのを聞いた事はありますか?

「何それ?」
と思われる方もいれば、少し詳しい方だと
シングルが30mlダブルはその倍の60mlでしょ」
と答えられる方もおられると思います。

googleで検索してもそのような回答のサイトが多いのですが、実はこれ、正解とも言えますし、でも今の時代には間違っているとも言えます。

今日はそんな単位のお話し、シングルとダブルについて解説いたします。

もともとのシングルの分量は

シングルの分量は、もともとは冒頭の通り30mlとして使われていました。

これは、8oz(240ml)のタンブラーグラスに氷をいれて、だいたい指一本分の太さ(シングルフィンガー)であることからシングルと呼ばれるようになりました。

この単位は、ハイボールなどをつくる際も基本となり、8ozのグラスに氷とウイスキー30mlを入れ、ソーダで満たす形で提供されています。

ちなみにこれは日本でのシングルの分量で、海外では違うこともあります。
例えば、イングランドでは45ml、スコットランドでは60mlをシングルとされているようです。
イギリス人は指が太いのでしょうか(笑)

なお、これ以降は原則日本での話を前提としています。

もともとのダブルの分量は

ダブルの分量は、シングルの倍、60mlとして使われていました。

ダブルとして注文するのは、お酒をよく飲まれる方が、一杯がシングルでは少ないと感じられ何度もおかわりを注文するのも面倒なため、最初から2杯分、ダブルで注文をされます。

基本的に、とくにダブルと言われなければシングルで提供されるので、注文時にシングルをわざわざ指定する必要はありません。

時代と共に変化しつつあるシングルとダブルの意味

ここまで、シングルとダブルについて説明しましたが、あえて”もともと”と書きました。

実は、現在それぞれの量に変化があり、お店によってバラバラの状況となっています。

現在、
シングル=45ml
ダブル=60ml or 90ml
として提供しているお店が増えています。

●今もシングル=30ml、ダブル=60mlのお店も多い

シングルが30mlなのか、45mlなのか、提供しているお店がどちらかに大きく偏っていれば、主流はこっちですと言えるのですが、私が見ている限り、本当にお店によってまちまちで、今はどっちが一般的とも言い切れない状況にあります。

感覚的には、比較的リーズナブルなお店やカジュアルなお店、クラブやガールズバーなど女性の接客をメインとしたお店などは、今でもシングルを30mlとして提供しているところが多いようです。

オーセンティックであったり、落ち着いて飲むようなバーでは、シングルを45mlで出しているお店が多いかと思います。

ちなみに当店、お初天神 バー・ザ・メモリーでは、シングルを45ml、ダブルを60mlで提供しています。
ダブルなのに倍ではないんです・・・ややこしいですね・・・。

●なぜシングルとダブルの量が変わってしまったか。

なぜ、同じ単位で分量が変化してきたか、すこし歴史的背景があります。

バブル経済崩壊後、安くそして量を飲める居酒屋チェーンが支持され増えたことが原因にあります。
こういった居酒屋チェーンでは、大量に仕入れたり、お酒自体を比較的リーズナブルな銘柄にすることで、一杯あたりの価格を抑え、それでいて一杯の分量を増やしていきました。

この結果、こういった居酒屋で飲む事に慣れたお客様にとっては、それまでのバーで出されていた一杯のシングル30ml、ハイボールだと8oz(240ml)のグラスでは小さく感じてしまうようになりました。

そこで、バーも一杯の量を増やし、シングルを45mlで提供するお店が増えてきて、今に至っているというわけです。
シングルを45mlにすると、一般的なハイボールでは10oz(300ml)のグラスになり一回り大きくなります。

さらに価格重視のお店などは、10ozのグラスにシングルの量は以前のまま30mlで、いわゆる薄いハイボールを作るお店もでてきて、もはやなんでもありと言えます。。

なお、当店もそうですが、ダブルは以前のまま60mlとするのは、45mlの倍90mlとすると、さすがに多すぎて需要が逆に減るため、ダブルは60mlのままとしているお店が多くなっています。

シングルとダブルの料金は?

シングルを30ml、ダブルを60mlとした場合は、
ダブルの料金は、シングルの倍か若干それを下回るぐらいの値段で提供されます。

シングルを45ml、ダブルを60mlとしているお店は、
ダブルの料金を、シングルの1.4倍程度で提供されています。
(つまり量に比例させた値段か若干おまけをしている感じです)

前述の通り、同じ単位でもお店によって分量が違うため、今はお店ごとに比べて安いか高いか値段だけでは決められなくなっています。

例えば、一杯1,000円でシングル30mlとしているお店があれば、
同じ銘柄で、1杯1,300円、シングル45mlとして提供しているお店もあります。
値段だけでは後者が高くなりますが、量で考えると前者の方が高くなるわけです。

初めて行くお店でシングルがどのくらいか、なんてのは基本メニューにも書かないので、もはや出てくるまでわからないのです。

最後に

シングルとダブルの分量は○mlと△mlです、と一言で終わりそうな話と思いきや、歴史的背景の話になり、実は今現在非常にややこしくなっている事がわかっていただけましでしょうか。

個人的には、どっちでもいいから統一してほしいんですが(笑)

値段の話もありますが、シングルの量が違うということは、お店によって一杯のアルコール量も違うので、シングルが30mlのお店で10杯飲んで大丈夫だったからと、別の日に同じ調子でシングル45mlのお店で同じ杯数飲むと、たぶん帰り大変なことになるのでご注意ください(笑)

でも、バーというのは、そもそもお店ごとにそれぞれの考え方で自由に提供していて、それがまたバーの面白いところでもあるわけで、こういった違いも楽しみながら飲むのがきっと正解なのでしょう!

【バー入門】チェイサーとは?お水とは違うの?チェイサーの意味と役割を解説

チェイサーという言葉は聞いたことあるでしょうか。

「あー、お冷(お水)のことね」
と思われた方も多いのではないでしょうか。

実は、チェイサーとはお水という意味では無いのです。
「でも、水が出てくるやん!!」
と言われてしまいそうですが、今日はそんなチェイサーについてお話したいと思います。

チェイサーとは

チェイサーとは英語では"chaser"と書き、辞書を弾くと、追っ手・追撃者といった意味が出てきます。
バーやお酒の席でのチェイサーは"飲んでいるお酒の後を追うように飲むもの"を指します。
つまり、後追って飲むのであれば、水でなくても良いわけです。

ちなみに、英語としても"chaser"はそのまま通じ、バーなどでは日本と同じような意味で使うことが出来ます。

チェイサーの目的

では、チェイサーはなんのために存在しているのでしょうか。
主な目的は以下となります。

●口の中をリセット

一杯飲み終わって、次のドリンクを頼んだ際に、お酒によってはしばらく口の中に前のお酒の味やアルコール感が残っていることがあります。
次に別のお酒を飲むにあたって、一度口の中の味覚をリセットするためにチェイサーを飲みます。

●体内のアルコール濃度を下げる

アルコール度数の強いお酒を飲んでいる場合、それだけでは体内のアルコール濃度が上がっていき、一部のお酒に強い人を除いて、どんどん酔いも強くなっていきます。
これを和らげるために、飲んでいるお酒よりもアルコール度数の低いものを飲んで、体内のアルコール濃度を下げる目的があります。

●脱水症状を防ぐ

アルコールは利尿作用があり、場合によっては飲んでいる量以上に排出されます。
結果、体内から水分が減り、最悪の場合脱水症状となってしまいます。
これを防ぐために水分補給としてチェイサーを飲みます。

チェイサーは必ずしも水では無い

上でチェイサーの目的を3つあげましたが、この3つの目的を果たす飲み物と考えると"水"が無難な選択となります。

結果的に、チェイサーは一般的には水が出てくるわけです。。

バーで「チェイサーください」といって勝手に水以外のビールやよくわからない飲み物が出てくる事は無いので、その辺は安心して頼んでいただいて良いかと思います。
(稀に炭酸水のお店はあります)

●水以外のチェイサー

チェイサーとはあくまで前述の目的を持った飲み物を指し、一般的には水となりますが、必ずしも水だけを指すわけではありません、

ということは、水以外にもチェイサーは存在します。

例えば、電気ブランで有名な浅草の神谷バーでは、電気ブランのチェイサーとしてビールが推奨されている事は有名です。

そもそも、外国人(特に欧米)の方は、チェイサーとしてビールを飲まれる事はよくあるようです。

またテキーラを飲む際のチェイサーとして"サングリータ"と呼ばれる、トマトジュースとオレンジジュースを合わせスパイスを効かせたノンアルコールのドリンクを飲まれる事があります。

その他にもジュースや炭酸水をチェイサーとして飲まれる方はしばしばおられ、チェイサーが何かはその人の自由と言えます。

なお、これ以降は、基本的には"チェイサーを水で出す場合"を前提のお話となります。

チェイサーは無料?

「チェイサーを頼みたいけど、あれお金とられているの?」
と気になる方もいらっしゃると思います。

日本の一般的なバーにおいては、チェイサーとしてお水をお出しする場合は無料となります。
(一部の高級バーなどは有料の場合もあります)

ビールやその他のお酒、ジュースなどをチェイサーとする場合は、本人がチェイサーとして飲んでいるだけで、お店としては通常の注文の扱いになりますので、通常のメニュー料金がかかります。

当店では、お水と炭酸水については無料でご提供させていただいています。

チェイサーの頼み方と飲み方

●チェイサーの頼み方

頼み方については飲みたいと思ったときに
「チェイサーください」
と言えば大丈夫です。

横文字を使うのが恥ずかしければ
「お冷(お水)ください」
でもちゃんと出てきます。

●頼まなくてもチェイサーが出てくるお店と頼まないと出ないお店

バーによっては、頼まなくてもチェイサーが出てくるお店もあります。
特に、ウイスキーのロックやストレートなどの強いお酒を飲まれる方に対しては、最初から頼まれなくてもチェイサーを出すお店は多くあります。

逆にあえて頼まれるまでチェイサーを出さないお店もあります。
これはサービスが悪い、気が利かない、というわけではなく、あえてお出ししていないのです。

お客様によっては、強いお酒だけを飲み続ける事を良しとして、間に水を飲む事が好悪いと思われる方もいらっしゃいます。
当店ではありませんが、良かれと思って頼まれずにチェイサーを出したら「そんな酒に弱くない!」と怒られた、という話も聞きます。

また、そこまでいかなくても、アルコールに強い方などは、チェイサーをまったく必要とされず、飲まないのにチェイサーがある事でその分テーブルが狭くなってしまってはお客様にとってマイナスとなってしまいます。
お店としても出すだけ出して無意味となってしまいます。

そういったチェイサーを必要としてない方もいらっしゃいますので、頼まれるまではあえて出さないお店があります。

また、間を取って強いお酒を飲まれる方に対しては「チェイサーをご用意しましょうか」と聞くお店もあります。

チェイサーの扱いはお店によってまちまちとなりますが、欲しければ飲んでいるお酒のアルコール度数に関係なく、遠慮なく頼んでいただければと思います。

●チェイサーの飲み方は?おかわりは頼んで良い?

これといったルールは無いので、飲みたい時に飲む、で良いかと思います。
が、体の負担を考えた場合は、お酒を一口飲んだらチェイサーも一口飲み、を繰り返すのが良いと思います。

もしチェイサーが無くなれば、おかわりを頼んで問題ありません。
多くのお店は気づき次第、足してくれるところが多いと思います。
(私は、たまにバタバタしてる時など、空になっていることに気づかない時があります・・・すみません・・・)

バーでやらない方が良い事

チェイサー(お水)は基本的に無料ですし、飲めばすぐに足してくれるお店が多くなっています。
ただ、あくまでチェイサーは"お酒のお供"であることが前提となっています。

つまり、すでにお酒のグラスは空なのに、チェイサーだけ何杯もおかわりしてずっと居座り続ける、といった事は、お店からするとチャージをいただいているとは言え、バーのビジネスモデルから考えると厳しい部分があります。

とはいえ、お店から「もう帰ってくれ」とも言いにくいわけで、両者が心地よいお店として維持し続けるためにも、この辺は理解しておく必要があります。

ただし、お酒を飲み終わって、帰る前に最後に一杯お水を飲んで帰りたい、ぐらいであれば問題ないかと思います。

もうアルコールを飲むのはしんどいけど、まだゆっくりしたいという場合は、ソフトドリンクなどを頼まれると良いと思います。

最後に

チェイサーのお話し、いかがでしたでしょうか。
ただのお水といえばそうですが、意外と奥が深い存在となります。

チェイサーとは、お酒をおいしく飲み、また体の負担を和らげるために重要な役割をもっています。

頼みにくい、格好悪い、などとは思わず遠慮なく飲んでいただいて問題ありませんので、是非活用してお酒をおいしく飲みましょう!

【カクテルの製法】ビルド・ステア・シェイクとは?代表的な4つの製法の特徴や作り方を解説

バーに行ってカクテルを注文した時、バーテンダーをよく見ているとカクテルによって色々な作り方をしています。

シェイカーでシャカシャカしている時もあれば、グラスに直接注いている時もあれば、これらはどういった違いがあるのか疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

また、このブログでも多くのカクテルレシピをご紹介していますが、レシピ内でも【製法】と記述をしています。

これらはなぜ使い分けられているのか、結局混ぜてしまえば同じように思いますが、どんな違いがあるのかをご紹介したいと思います。

ビルド

お客様に出すグラス内に直接材料を注ぐ方法です。
ロング(コリンズ)グラスでよく使われる作り方となります。
グラスに材料と氷を直接入れ、ステア(バースプーンを回し材料を混ぜる)します。

特徴は、入れて混ぜる、というシンプルな製法であることもあって、提供時間が短く、バーだけでなく、居酒屋などドリンクを専門としていないお店でもよく使われる製法です。

●ビルドでのカクテルの作り方

  1. グラスに氷をいれる
  2. 氷の入ったグラスをステア(バースプーンで混ぜる)してグラスを冷やす
  3. スピリッツ、リキュール、ジュースなど材料を入れる
  4. ステアをする

氷を先に入れるか材料を先に入れるかは、作るカクテルの種類や材料(混ざりやすいか混ざりにくいかなど)によって異なることがあります。
例えば、シロップなど比重が重く混ざりにくいものをいれる場合は、氷を入れる前に先に材料を入れてよくステアしてから、氷を入れる事があります。

逆にソーダなどの炭酸類は、比重が軽くて混ざりやすく、ステアをしすぎると炭酸が抜けるため、氷や全ての材料の最後に注ぎステアは軽くする程度にとどめます。

●ビルドの代表的なカクテル

シェイク

バーテンダーと言えば、シェイクをしている姿が思い浮かびやすいのではないでしょうか。

シェイカー(写真右)と呼ばれる金属製の入れ物に材料と氷を入れ、手首を使いシャカシャカとシェイクします。

●シェイクの目的・特徴

シェイクする主な目的は以下の3つとなります。

・混ぜる事

ビルドも材料を混ぜる製法ですが、シェイクの方がよく混ざりやすいため、比重が違う材料など混ざりにくい材料を入れる場合によく使われます。

・冷やすこと

効率よく冷やすことができます。カクテルグラスなどで氷をいれずに提供するカクテルにもよく使われる製法で、その分事前によく冷やしておく必要がある場合にシェイクします。

・空気を含ませる

これがシェイクの一番の特徴と言えます。材料を混ぜるだけでなくシェイカーの中で上下左右前後とシェイクされることで材料と一緒に空気を含みます。これによりアルコールの角がとれまろやかになります。

●シェイクでのカクテルの作り方

  1. シェイカーに材料を入れる
  2. シェイカーに氷をいれる
  3. シェイクをしてグラスに注ぐ

きっちりシェイクができてとカクテルグラスに注がれた時に、小さな気泡が無数にあり濁ったように見えるのが特徴です。

シェイクをするコツはシェイク中に

  • 材料はどのくらい混ざっているか
  • 材料はどのくらい冷えているか
  • 氷はどのくらい溶けているか
  • 空気を十分含むような動きになっているか

といった事を意識しながら、シェイカーの中で材料や氷の動きを頭で思い描き、作るカクテルによってコントロールして振ることが大切となります。

逆に言うと、上記を意識できていれば振り方は自由で、バーテンダーの数だけ振り方があると言えるほど幅広いものとなります。

お客さんとしてバーに行く際はどんな振り方か見るのもバーの楽しみ方の一つです。

シェイクだけでも、非常に奥が深く語りだすとキリがないため、またいずれ記事を書きたいと思います。

●シェイクの代表的なカクテル

ステア

ミキシンググラス(写真)と呼ばれる材料を混ぜるためのグラスにいったん材料を注ぎ、ミキシング内で冷やし、混ぜてから、カクテルグラス等に移し提供する製法です。

●ステアの目的・特徴

混ぜる、冷やすについては、前述のビルドやシェイクと同様となります。

ステアの特徴は、通常の飲むためのグラスではなく、大型のミキシンググラスを使用することでよく混ぜる事が出来ます。
空気を含ませ氷がある程度溶け込む事でアルコールの角が取れまろやかになるシェイクに対して、あまり空気は含まれず、氷もシェイクに比べて溶け込む量が少ない事で、アルコールの角がしっかりと残り、辛口のカクテルなどに適した製法となります。

●ステアでのカクテルの作り方

  1. ミキシンググラスに氷をいれステアをし十分にミキシンググラスを冷やす
  2. 1により氷から溶けた水を捨てる
  3. ミキシンググラスに材料を入れる
  4. ステアを行い提供するグラスに移す

ステアでカクテルを作る際の注意点は

  • 1。にてミキシンググラスを十分に冷やすこと
  • 水を捨ててから3.4.を素早く行い、出来る限り氷の解ける量を抑える事

が重要となります。

ただし、早さを気にするあまり、十分に冷やせていなかったり、材料を混ぜれていなければ意味がないので、素早くそして確実に、を意識して作ります。

●ステアの代表的なカクテル

ビルド&シェイク

ビルド&シェイクは、応用編といった感じですが、名前の通り、ビルドとシェイクを組み合わせた製法となります。

よく混ぜる必要なある材料と、炭酸など混ぜる必要が無い(あまり混ぜない方が良い)材料を組み合わせる時によく使います。

●ビルド&シェイクでのカクテルの作り方

  1. 混ぜる必要のある材料をシェイクしグラスに移す
  2. グラスに氷を入れる
  3. 炭酸など混ぜる必要があまりない材料を注ぎ軽くステアをする、

●ビルド&シェイクの代表的なカクテル

最後に

ここまで主に4つの製法をご紹介しました。
単に材料を混ぜるだけ、と言ってしまえばそこまでですが、実は混ぜ方・冷やし方によって、それぞれ特徴があり、カクテルの味に大きく影響を与えます。

逆に言うと、どんな製法でつくられるかによって、そのカクテルの特徴も見えてきます。
バーに行った際や、ご自分でカクテルを作られる際も製法を気にしてみると、より楽しめると思うので、ぜひ注目してみてください!

【バー入門】チャームとは?出される理由は?断ったらチャージは払わなくてよい?

バーで最初に飲み物を頼むと、スナックやナッツ、ちょっとした小鉢などが出てくることがあります。

「頼んでも無いのになぜ出てくるの!?」
「お通しとは違うの?」
と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は【チャーム】についてお話したいと思います。

チャームとは

チャームとは英語で書くと"charm”となり、辞書を引くと『魅力』『人を引き付ける力』といった意味が出てきます。

バーにおいてチャームとは、冒頭にも書きましたが最初にドリンクを頼むとそのすぐ後にとくに注文してなくても出てくる、スナックやナッツ、小鉢類の事を指します。

居酒屋さんで言う"お通し”が近いと思いますが、お通しはいくらか料理されているものが多いのに対して、バーで出されるチャームは、スナック、ナッツ、ドライフルーツなどお皿に乗せるだけの簡単なものが多くなっています。

とは言え、バーによっては料理と言えるほどしっかりしたものを出すところもあれば、そもそもチャームを出さないお店も多くあります。

チャームはなぜ出てくるのか

では、なぜ頼んでもいないチャームが、勝手に出てくるのでしょうか。
主に以下の二つの理由があげられます。

●お酒がすすむようにチャームを出す

バーは基本的には、ドリンク(お酒)を飲んでもらう事で売り上げ・利益をあげるビジネスモデルとなっています。

バーは少しでもお酒を飲んでもらえるように、いろいろな工夫を実はしているのですが、そのうちの一つがチャームといえます。
お酒をより飲んでもらうために、チャームで出されるのは、塩気があって喉が渇きやすいものや、お酒と合わせて食べる事でマリアージュ的によりおいしく飲めるようなものを出されることが多くなっています。

ちなみに当店、BAR THE MEMORYではウイスキーが多い事もあり、ウイスキーと合う生チョコレートをお出ししている事が多くなっています。

●チャージをとる代わりにチャームを出す

テーブルチャージがあるバーでは、何も出さずにチャージだけ頂くのは気が引ける、もしくは理解いただけない場合がある事を懸念して、チャームをお出ししているということもあります。

お店からすると「チャーム出すんでテーブルチャージのご理解よろしくおねがいいたします」といったところです。

ただ、チャージはとるけどチャームは出さない、ノーチャージだけどチャームは出す、といったバーもあるので、この辺は絶対にといったわけではなく、マスターの考えによる部分があります。

チャームとチャージの関係

●テーブルチャージはチャームの代金では無い

上で、テーブルチャージをとる代わりにチャームを出す、ということを書きましたが、テーブルチャージはチャームの代金というわけではありません。

あくまでチャージ料は席代、チャームはお酒を美味しく飲んでいただくためにサービスとしてお出ししている、という事になります。

居酒屋さんのお通しのようなもの、と書きましたが、いわゆるお通しカット(お通しを断ることでお通し代を外してもらう事)は出来ないと思った方が良く、チャームを食べなかったら(断ったら)テーブルチャージは払わなくても良い、というわけではないので、ご注意ください。

●別物だけどチャージとチャームの微妙な関係

チャージとチャームは別物なのですが、チャージとチャームの関係も無くも無いところもあります。

以下は私の経験上のチャージ料と出されるチャームの内容です

ノーチャージから数百円程度のチャージ料のお店の場合
→チャームは出さない。又はスナックやナッツ類、乾きモノが多い

数百円から1,000円程度のチャージ料のお店の場合
→ドライフルーツ、ちょっとした小鉢などオシャレなものが多い。時には本格的な料理を出すバーも。

1,000円を超えるチャージ料のお店の場合
チャームを出さないところが多い

これは必ずしも当てはまるわけではないですが、あくまで私の感覚的に上記のようなお店が多いと感じます。

チャージ料が1,000円を超えたら、チャームもさぞかし豪華かと思いきや、むしろ出さないお店が多いのが意外と思われたでしょうか。
このクラスのバーは高級バーの部類になり、お客様もそれなりにバーに通い慣れて、またこだわりを持っている方が多くなってきます。

通い慣れている方にとっては、チャームの有無は関係なく、バーにテーブルチャージが設定されているのは当たり前と思っているので、チャームなしでチャージはとりにくい、という店側の微妙な感情は必要無いのです。
また、こだわりをしっかりもっていらっしゃるお客様が多いこともあり、店側が勝手に決まったものを出すよりも、必要に応じて食べたいものをフードメニューから頼んでもらう方がお店側もお客様にとっても都合が良い事があります。
こんな理由でチャームをあえて出さないお店もあるのです。

チャージについてこちらで詳しく書いているのでよければご参照ください。

最後に

ここまでチャームについて書かせていただきました、

チャームは、お酒をより楽しんでもらったり、お店としてのアピール・差別化のために、各店創意工夫をしてサービスでお出ししているものとなります。

かといって、チャームを出さないお店は、サービスが足りない、創意工夫をしていないというわけではなく、人には好き嫌いもあれば、お酒だけ飲めれば特に何も食べたくないという方もおられるわけで、一方的にお出しするのではなく、必要に応じてフード(おつまみ)メニューからお好きに頼んでいただきたい、という思いが込められているとも言えます。

バーの主役、お酒に対して、チャームは脇役ではありますが、大切な存在であり、バーの『魅力』や『人を引き付けるため』のこだわりや思いが詰まった部分でもあります。

これからバーに行くられる方は、こんなところも是非注目してみてください!

【バー入門】バーのチャージとは?相場はいくらぐらい?

この記事をお読みの方は、バーに行って"チャージ料金”をとられた事があったり、言葉ぐらいは聞いたことがある方が多いと思います。

なんとなく
「注文したものとは別に取られる料金?」
「でも、なんの料金かよくわからない」
という方も多いのではないでしょうか。

また、チャージっていくらぐらいなのか分からないから、不安だし怖くてバーに行きづらい!という話もききます。

そんな方のために今回は、バーにおける「チャージ」について解説いたします。

チャージ料とは?相場は何円ぐらい?

●チャージ料とは席代

チャージをわかりやすく言うと“席代”“入場料”といった意味になり、基本的に席に座ってなにか注文すると、注文したものと別で会計時に加算される料金の事
“テーブルチャージ”とも言います。

他にもバンドの生演奏があるバーなどでは“ライブチャージ”
カラオケが歌えるバーでは”カラオケチャージ”といった
通常のテーブルチャージとは別にチャージがあるバーもあります。

ここからはテーブルチャージについて解説します。

●チャージの相場は0円から数千円まで幅広い

チャージの相場は幅広く、ノーチャージ(無料)のお店からお一人数千円といったお店もあります。

立ち飲みであったり、カジュアルなお店で、比較的お客様の入れ替わりが多いお店は
 0円~300円程度

ゆっくりと座って話せるお店は
 500円前後~1,000円程度

高級バーや会員制・招待制バーになると
 1,000円~数千円

立地やお店の経営方針などでも違ってくるため、一概には言えませんが、この辺が目安になると思います。
ちなみに当店、お初天神 BAR THE MEMORYでは、おひとり様600円を頂いております。

●チャージがいくらかわかない場合は聞いても良い!

チャージについてどこにも書いていないバーが多く、どのくらいかかるのか不安な事もあると思いますが、そんなときは素直に「チャージはおいくらですか」と聞いて全く問題ありません

「バーに慣れていないと思われるのが恥ずかしい!」
とか
「マナーとしてお金の話はしないほうがいいのかな」
と思われるかもしれませんが、 料金気にしてたらお酒おいしくありませんから(笑)

お店側としてもお客様が料金を気にされるのは当たり前なので、聞かれたからといって特に何もマイナスに思うことはありません。

チャージはチャーム(お通し)代では無い

たまに勘違いをされますが、 バーに行くと、最初にちょっとしたスナックやナッツなど(これをチャームと言います)が出されることもあるため、この代金がチャージと思われる方もおられますが、あくまで別物です。

チャームを食べなかった(断った)から「チャージは払わないで良い」という事ではありませんのでご注意を・・・。

チャームについてはまたいずれ改めて書きたいと思います(たぶん・・・)

なぜチャージをとるのか

お客様からすると「頼んだもの以外でお金をとるなんて!」と思われるかもしれませんが、バーがチャージをとる理由は主に以下があります。

●客単価の調整

商売である以上、お店の維持に必要な売り上げというのがあります。
これを来店されるお客さんの数で割ると、必要な客単価がでます。

お客様によっては、たくさん飲んでくださる方もいらっしゃいますが、
逆にお酒に強くないなどで、1杯だけであとは水を頼んで長時間いらっしゃる方もおられます。
そういったお客様ばかりになると、本来の必要な客単価を大きく割り込み、お店の経営ができなくなってしまうので、チャージで調整している、という点があります。

視点を変えると、お店の経費はお酒の原価だけでなく、内装や空調費、人件費など、ゆっくり楽しんでいただくためにあらゆる部分で経費はかかり、ドリンク代だけでは賄えないため、これをチャージとしていただいている、とも言えます。

では、チャージをとらないバーや飲食店はどうしているのか、というと、単純に注文されるお酒やお料理代に全て上乗せしているか、お客様(席)の回転率をあげることで、必要な売り上げを得ている事になります。

●チャージをとることであえて敷居をあげている

チャージを取るもう一つの理由は、あえてお店に入る敷居をあげている、という事もあります。

小さな空間でお客様がゆっくりとそれぞれの時間を楽しめる場をつくりたい、と考えていると、
「どこでもなんでもいいから飲んで暴れてどんちゃん騒ぎしたい!!!」
といったお客様は、正直お店として困る場合もあります。
(少なくともウチは困ります(笑))

それが“チャージ”というドリンク代以外のお金をとることで、そんなお客様が来られることが減り、お店の空間が守られるようにしています。

チャージの相場のところで大きく3つにわけましたが、こんな理由から、落ち着いた雰囲気、高級感のあるお店、入店されるお客様が限られる、といったお店ほどチャージ代も高くなる傾向があります。
(じゃあ、チャージとっていない店は暴れて良い、とかそんな話ではないですが・・・)

チャージは断れない

「注文したもの以外でお金取られるのはイヤだ!」
「たくさん飲むからチャージ代まけて」
といった方もおられるかと思います。

ただ、チャージが設定されているお店においては、断れないと思ってください。
理由は上記の通りで、お店の経営上、雰囲気空間の維持のために必要な料金であるためです。

バー・ザ・メモリーの場合(というか私の場合)は「チャージまけてくれたら店入って飲む」と言われたお客様には、残念ながら当店のお客様になり得ない方、と諦めてお断りしています。
(売り上げが悪い日などは目先の売上がほしくなったりする時もありますが・・・)

最後に

バーのチャージについてここまで色々と書かせていただきました。
このブログは、バーのマスターである私が書いているため、どうしてもお店視点になりがちなのですが、少しでも理解深まれば幸いです。

帰られる時にお店で過ごした時間・サービス対して、チャージも含めた会計料金が高いと感じられれば、次はそのお客様は来られないでしょうし、
納得していただければ次もまた来ていただける(可能性がある)。
そして、お店としては納得していただけるよう全力でお店作り・接客をさせていただく他無いと、ある意味覚悟を持って営業させていただいていますので、ご理解いただけますと幸いです。

【カクテルレシピ】ロングアイランド・アイスティー

材料

ロングアイランドアイスティー

ジン 15ml
ウォッカ 15ml
テキーラ 15ml
ホワイトラム 15ml
ホワイトキュラソー 15ml
レモンジュース 30ml
コーラ FULL UP

グラス:ロンググラス
製法:シェイク&ビルド

作り方

①ジン、ウォッカ、テキーラ、ホワイトラム、ホワイトキュラソー、レモンジュースをシェイクしグラスに注ぐ
②グラスに氷を入れる
③コーラを注ぎ軽くステア

解説

アメリカニューヨーク州、ロングアイランドのバーテンダー、ロバート・バッツ氏が紅茶を使わず紅茶の見た目・味を近づけるカクテルとして考案されたことで、ロングアイランド・アイスティーという名前になる。

ジンベースと言われたり、ウォッカベース、ラムベースと言われたりとベースの分類があらゆるレシピでバラバラであるが、実際には、4大ホワイトスピリッツすべて入るためどれも正解と言える。
シェイクせず全てビルドでつくられる事も多い。

ロングカクテルは一般的にはアルコール度数が低めであるものが多いが、このロングアイランド・アイスティーは例外で飲みやすいが度数は高め。
男性が女性に「紅茶の味がする面白いカクテルがある」「飲みやすいよ」などとやたらとすすめてきたら要注意!

本当に紅茶の味がするかは是非ご自身でお試しを。

【カクテルレシピ】バイオレット・フィズ

材料

バイオレットフィズ

パルフェ・タムール 45ml
レモンジュース 20ml
シュガーシロップ 1tsp
ソーダ FULL UP

グラス:ロンググラス 10オンス
製法:シェイク&ビルド

作り方

①パルフェ・タムール、レモンジュース、シュガーシロップをシェイクしグラスに注ぐ
②グラスに氷を入れる
③ソーダを注ぎ軽くステア

解説

名前の通り透き通った紫色が特徴のロングカクテル。

パルフェ・タムールはフランスに起源を持つ、柑橘系の果実をベースにニオイスミレやバラ、アーモンド、バニラなどで香り付けされたリキュール。
バイオレットリキュール、クレーム・ド・バイオレットとも呼ばれる。

このパルフェ・タムール独特のスミレの香りと甘味にレモンジュースのさっぱりとした酸味にシュガーシロップで味を調え、すっきりと飲めるロングカクテル。

【カクテルレシピ】パイナップル・クーラー

材料

パイナップルクーラー

パイナップルジュース 60ml
レモンジュース 10ml
ソーダ FULL UP

グラス:ロンググラス
製法:シェイク&ビルド

作り方

①パイナップルジュース・レモンジュースをシェイクしグラスに注ぐ
②グラスに氷を入れる
③ソーダを注ぎ軽くステア

解説

パイナップルジュースにレモンジュース少し入れることで、炭酸と合わさり、さわやかに飲めるノンアルコールカクテル。

アクセントとして、アロマチックビターズを入れる事もあり、この場合は完全な0度のノンアルコールカクテルでは無くなる。

【カクテルレシピ】シンデレラ

材料

シンデレラ

オレンジジュース 20ml
パイナップルジュース 20ml
レモンジュース 20ml

グラス:カクテルグラス
製法:シェイク

作り方

①オレンジジュース、パイナップルジュース、レモンジュースをシェイクしグラスに注ぐ

解説

オレンジジュース、パイナップルジュース、レモンジュースが合わさり、フルーティで酸味の利いたショートノンアルコールカクテル。

名前からか、よく女性が興味を持たれる事が多く「何が入っていますか」とよく聞かれご注文いただくカクテル。

【カクテルレシピ】フロリダ

材料

オレンジジュース 45ml
レモンジュース 15ml
アンゴスチュラビターズ 2dash

グラス:カクテルグラス
製法:シェイク

作り方

①オレンジジュース、レモンジュース、アンゴスチュラビターズをシェイクしグラスに注ぐ

解説

オレンジジュースの甘さと酸味、レモンジュースのさっぱりとした酸味に、アンゴスチュラビターズの独特の風味が全体を締めてくれる、大人のノンアルコールカクテル。

ノンアルコールに分類されているが、厳密にはアンゴスチュラビターズが入るため完全な0度では無いので、アルコールが1滴も飲めない方はご注意を。