アイリッシュウイスキーとは。おすすめのアイリッシュウイスキーも紹介。

5大ウイスキーという言葉がありますが、その中の一つ『アイリッシュウイスキー』をご存知でしょうか。

同じく5大ウイスキーでもある、スコッチやバーボンと比べると、少し知名度が劣るような気もします。
しかし、一時期までは世界でトップシェアを誇るウイスキーでした。

それがなぜ現在はスコッチなどに比べて大きくシェアで劣るようになってしまったのでしょうか。
一方で、当店でもアイリッシュウイスキーしか飲まれないといったお客様も何人もおられ、今もなお根強く愛されています。

今回は、一時代を築き時代に翻弄されながらも、今も根強く愛されているアイリッシュウイスキーについてお話いたします。

アイリッシュウイスキーとは

アイリッシュウイスキーについては、アイルランド共和国のアイリッシュウイスキー法(Irish Whiskey Act, 1980)にて定義されています。

主な内容は以下の通りです。

・アイルランド共和国ならびに北アイルランドにて、穀物の糖化、アルコール発酵、蒸留されているもの
・アイルランド共和国ならびに北アイルランド内の倉庫において、木製の樽で3年以上熟成されたもの

細かくはもっと定義がされていますが、アイルランドで作られ3年以上熟成されたウイスキーをアイリッシュウイスキーと呼んでいます。

●アイリッシュウイスキーの種類

アイリッシュウイスキーの種類として以下のようなものがあります。
モルトウイスキー、グレーンウイスキー、ブレンデッドウイスキーはスコッチでもおなじみですが、ポットスチルウイスキーはアイリッシュの特徴的な製法と言えます。

・モルトウイスキー

大麦麦芽(モルト)のみを使ったウイスキー。

・グレーンウイスキー

トウモロコシやライ麦、小麦など大麦以外の穀物(グレーン)を使ったウイスキー。

・ブレンデッドウイスキー

モルトとグレーンを混ぜた(ブレンド)したウイスキー。

・ポットスチルウイスキー

大麦麦芽(モルト)と未発芽状態の大麦を混ぜたウイスキー。
背景には、麦芽税という麦芽に対する課税があり、この負担を減らすため麦芽の割合を減らし、未発芽の大麦を混ぜるという苦肉の策から始まったわけですが、この結果、生の大麦が入ることで、オイリーで穀物の風味をしっかり感じさせてくれるアイリッシュの特徴ともいえるウイスキーが作られるようになりました。

ポットスチルウイスキーのみのウイスキーを、ピュアポットスチルウイスキー又はシングルポットスチルウイスキーと呼びます

●アイリッシュウイスキーの歴史

アイルランドでのウイスキーの始まりは諸説あります。

  • 4世紀から5世紀にかけてアイルランドにキリスト教を広めた、聖パトリックがキリスト教とともに蒸留技術を伝え、これを元に蒸留酒が作られるようになった。
  • 6世紀ごろ、アイルランドの修道僧が中東へ訪れた際に、蒸留技術を学び持ち帰り蒸留酒が作られるようになった。

いずれにしても外国から伝えられた蒸留技術を酒造に使うようになり、蒸留技術の発達とともに、ウイスキーがつくられるようになりました。

その後アイルランドのウイスキー作りはみるみる広がり、18世紀ごろには2000もの蒸留所が存在し、アイリッシュウイスキーは世界のウイスキー市場で最も飲まれるウイスキーとして広まっていました。

しかし、1920年、アイリッシュウイスキーが最も飲まれていたアメリカ合衆国で禁酒法が施行され、消費のためのアルコールの製造、販売、輸送が全面的に禁止され、このあおりを受けアイリッシュウイスキーの生産・販売規模が縮小されました。

その後、禁酒法は撤廃されたものの、第二次世界大戦時には、アイリッシュウイスキーの生産規模が縮小されたことで国内への供給を優先し輸出制限がかけられました。

その状況の中で、スコットランドから安くておいしいウイスキーとして、スコッチブレンデッドウイスキーが台頭し、大量生産技術が確立されたことも重なり、多く輸出されるようになり、アメリカを中心に世界的にスコッチウイスキーが広まっていきました。

今は、一時期に比べて蒸留所は少なくなり20に満たない蒸留所の数となりましたが、今なお、世界中に根強いファンが多くおり、5大ウイスキーの一角として一定の人気を誇っています。

●"whiskey"と"whisky"の綴りの違い

ウイスキーの綴りは、アイルランドは"whiskey"、スコットランドやその系譜を持つアメリカなどはwhiskyと記載されています。

しかし、過去にはアイリッシュウイスキーの中にもブッシュミルズなど"whisky"と表記されているものもありました。

アイルランド内で"whiskey"と統一されるようになったのは、諸説ありますが、19世紀ごろ、高品質を謳うためにプロモーションの一環で一部の蒸留所が "whisky" に"e"を入れて販売するようになり、これがアイルランド国内の蒸留所に広まったと言われています。

●アイリッシュウイスキーの特徴

アイリッシュウイスキーは、すっきりと飲みやすく、それでいてオイリーなところが特徴となります。

前述の、アイリッシュ独特の、未発芽の大麦を混ぜるポットスチルウイスキーは、モルト(大麦麦芽)100%でないことで、糖化に時間をかける必要があります。
これが結果的にオイリーな風味を生み出しています。

また、単式蒸留器で3回蒸留することで、雑味が少なくなり、すっきりとしたウイスキーとなっています。 (スコッチは2回の蒸留が一般的)

おすすめのアイリッシュウイスキー

●ジェムソン スタンダード

アイリッシュウイスキーの定番。当店でもアイリッシュの中で最も注文されているウイスキーがジェムソンです。
ミドルトン蒸留所で作られており、ポットスチルウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキーです。

味は、青リンゴの風味とかすかな酸味があり、もちろんアイリッシュらしいオイリーさも合わせもっています。
後味はほとんど残らずスッキリと飲めます。

値段が手ごろで飲みやすく、アイリッシュの特徴を持っているので、初めてのアイリッシュウイスキーとしてピッタリの一本となります。

●ブラックブッシュ(ブッシュミルズ ブラック)

ブッシュミルズは、アイリッシュの特徴ともいえるの未発芽の大麦は使わずに作られています。
果実やアーモンドのような風味とスパイシーな香りがほのかにしながら、3回蒸留で作られていることで、雑味が少なく飲みやすくなっています。
ピートは使わずに作られており、スモーキーさなどはありません。

●カネマラ

カネマラは大西洋に面した海岸沿いの地名で、ここにあるクーリー蒸留所で作られています。
アイリッシュの異端児とも言われる少し特殊なアイリッシュウイスキーでもあります。

伝統的なアイリッシュウイスキーの製造方法と異なり、2回の蒸留で、さらにピート(泥炭)を焚いて麦芽の発達を止める製法で作る事から、フルーティーさとピートに含まれるヨードの風味を複雑に持ち、スモーキーさも感じさせてくれるウイスキーです。

スコッチウイスキーとは?初めて飲む方へのおすすめも紹介

前回、バーボンウイスキーについてご紹介しましたが、今回は同じく5大ウイスキーの一つ、スコッチウイスキーについてご紹介します。

当店でも、バーボンウイスキーと並んで非常に人気があり、また種類も多く個性も幅広いため、永遠に語れるテーマでもあります。

今回は、初心者の方にもわかりやすく、そしてこれだけ知っていればそこそこウンチクとして使えるように、スコッチウイスキーについてお話いたします!

スコッチウイスキーとは

スコッチウイスキーの定義は、イギリスの法律にて以下のように定義されています。(一部)

  • スコットランド内の蒸留所にて、大麦から糖化・アルコール発酵・蒸留・熟成されている
  • 熟成期間が3年以上
  • 瓶詰時のアルコール度数は40℃以上

細かくは他にも定義されていますが、主な特徴は上記の通りとなります。
一言で言ってしまえば、スコットランドで製造されたウイスキーを指しているわけです。

●スコッチウイスキーの歴史

スコットランドにウイスキー作りが伝わった時期ははっきりとしていませんが(12世紀から13世紀ごろの説が有力)、お隣のアイルランドからキリスト教の布教とともに伝わったとされています。
一方で、スコットランド独自でウイスキー作りが始まっていたという説もあり、現時点で、スコッチとアイリッシュどちらが最初かははきりしていません。

当初は『アクアヴィッテ(=生命の水)』というラテン語で呼ばれ、これをスコットランドで使われていたケルト系言語のゲール語では『ウシュクベーハ』と呼ばれるようになりました。
このウシュクベーハを語源に訛って『ウイスキー』という英語が誕生しました。

ザ・グレンリベット12年 ザ・グレンリベット18年

その後、スコットランド王国はグレートブリテン王国の一部となり、ウイスキーの課税が大幅に上がりました。
課税を逃れるため多くの蒸留所が、密造ウイスキーを作り、結果的に密造ウイスキーがあまりにも広まりすぎたため、1823年に酒税法が改正され税率が引き下げられました。
1824年にはグレンリベット蒸留所が政府公認第一号の蒸留所として認められ、その後次々とその他の蒸留所も公認となることで、密造酒は減っていきました。

密造酒という性質上、いつでも売れるというわけでは無く、長期に樽で保管する事が多く、結果、これが長期熟成としてウイスキーに香りや味をまろやかに深みを与える事になり、スコッチウイスキーの製法として確立されていきました。

シングルモルトウイスキーとブレンデッドウイスキーの違い

シングルモルトとブレンデッド、ウイスキーではよく聞く言葉ですが、この言葉は原料と蒸留所の関係が混ざり合いわかりにくくなっています。

まずはウイスキーは原料によって二つに分けられることを理解する必要があります。

●モルトウイスキーとグレーンウイスキーの違い

・モルトウイスキー

『モルト』とは大麦を指し、モルト(大麦)のみで作られたウイスキーをモルトウイスキーと呼びます。

・グレーンウイスキー

グレーンとは大麦以外の穀物で、主にトウモロコシやライ麦、小麦が使われる事が一般的で、これらグレーンでつくったウイスキーをグレーンウイスキーと呼びます。

●シングルモルトウイスキーとは

シングルモルトの"モルト"は上記の通り、大麦で作られたウイスキーという意味になります。
"シングル"は、"一つの"蒸留所でのみ製造されたウイスキーとなります。

したがって、シングルモルトウイスキーとは【一つの蒸留所で作られた大麦のみのウイスキー】という意味となります。

・シングルモルトウイスキーの特徴

一つの蒸留所でのみ作られていることから、銘柄ごとに蒸留所の個性が強く出ており、銘柄が違えば、甘口から辛口なもの、フルーティな香りからピートに強い消毒液のような香りまで、全く別物の飲み物のように風味に違いがでてきます。

●ブレンデットウイスキーとは

ブレンデッドウイスキーは、まず原料は、モルトとグレーンの両方がブレンドされています。
また、蒸留所についても、複数の蒸留所のウイスキーをブレンドし一つの瓶に詰められます。

つまるり、原料と蒸留所両方が"ブレンド"されているウイスキーとなります。

・ブレンデッドウイスキーの特徴

銘柄によって特徴はあるものの、シングルモルトに比べると、ブレンドされることで風味が均一化され、すっきりと飲みやすいという感想を持つ方が多くなります。

●ブレンデッドモルトウイスキー

ここまで話すと「複数の蒸留所で原料をモルトだけのウイスキーは無いのか」という疑問を持たれるかもしれませんが、そういったものも上記二種類に比べると少ないですが存在しています。

こういった、原料はモルトのみで複数の蒸留所のウイスキーをブレンドされたものを『ブレンデッドモルトウイスキー』と呼びます。

同じ意味で他にも『ヴァッテッドモルトウイスキー』『ピュアモルトウイスキー』という言い方がありますが、スコッチにおいては、シングルモルトと混同し、消費者に誤解を生みやすいという事で、現在は使われなくなってきており、ブレンデッドモルトウイスキーに統一されています。

スコッチウイスキーとバーボンウイスキーの違い

スコッチウイスキー同じく有名なのが、5大ウイスキーのひとつでバーボンウイスキーです。
スコッチウイスキーとバーボンウイスキーの違いには以下があげられます。

バーボンウイスキーについて詳しくはこちらにの記事で書いています⇒【ウイスキーのお話し】バーボンとは。スコッチやウイスキーとは違うのか。

●製造場所が違う

スコッチウイスキーはイギリスの法律で、スコットランド内で製造されることが定義されていますが、バーボンウイスキーはアメリカの法律で、アメリカ合衆国内で糖化・発酵・蒸留・熟成したウイスキーと定義されています。

●"ウイスキー"の綴りが違う

スコッチはWhisky
バーボンはWhiskeyと表記されます。

●原料が違う

バーボンは、51%以上がトウモロコシである必要がありますが、スコッチはトウモロコシなども使われますが、主原料は大麦(モルト)となります。

●熟成樽の違い

スコッチは、熟成に使う樽については特に定義がされておらず、個性を出すためあえてワインやシェリー酒、バーボンウイスキーの熟成に使用した中古の樽を使って熟成しています。
バーボンウイスキーは、アメリカの法律で、新品の内側をバーナーで焦がしたオーク樽を使用することが決められています。

●熟成期間の違い

スコッチは、イギリスの法律で3年以上の熟成をする必要があり、10年以上熟成しているものが一般的となっています。
バーボンは、熟成年数については特に定義されておらず、数年程度の熟成で販売されるものが多くなっています。

おすすめスコッチウイスキー

ここまで、スコッチウイスキーについてお話してきましたが、種類が多く何から飲めばよいかわからない!という方向けに、おすすめのスコッチウイスキーを3種類ご紹介します。

●デュワーズ ホワイトラベル

ブレンデッドスコッチの中でも非常に人気のウイスキーで、バーでもハウスボトルとして使っているところが多くあります。
特徴はほのかなチョコレートのような甘さがありながら、スッキリしておりハイボールが合う銘柄となっています。
また、価格もリーズナブルでコストパフォーマンスに非常に優れています。

●ラフロイグ 10年

すっきりと飲みやすいデュワーズから一転、クセを求めたければこのアイラ島で作られたシングルモルトウイスキーのラフロイグがおすすめとなります。
大麦麦芽の乾燥時に使う、泥炭(ピート)に含まれるヨードと、スモーキーな香りが飲む前から強く出ており、初めて飲んだ時は驚くかもしれません。飲む正露丸なんて言われたりもします(笑)
しかし、飲んでみると後味は意外とすっきりと飲めるのも特徴です。
好き嫌いが分かれますが、ラフロイグに一度はまると他のウイスキーは物足りないと感じてしまう不思議な飲み物です。

●グレンフィディック 12年

世界で最も売れているシングルモルトウイスキーと言われ、当店でも人気の高いウイスキーです。
香りはフルーティで洋ナシやリンゴのようなさわやかで、飲んでみても口の中が華やかなまますっきりと飲みやすくなっています。
バーボンウイスキーや、上記のラフロイグのようなのはちょっと苦手、という方も美味しく飲めると思います。
当店では、女性にも人気となっています。

【ウイスキーのお話し】バーボンとは。スコッチやウイスキーとは違うのか。

お客様からの質問などで、たまに
「バーボンとスコッチってウイスキーなの?違いはあるの?」
「バーボンとウイスキーって何が違うの?」
と聞かれる事があります。

言葉では『バーボン』と聞いたことがあっても詳しくはご存じない方も多いのではないかと思います。

今回はそんな『バーボン』についてのお話です。
後半には、バーボンを試したいけど何から飲めば良いかわからない、といった方向けに、おすすめのバーボンウイスキーもご紹介します。

バーボンとは

『バーボン』は正確には『バーボンウイスキー』と言い、名前の通りウイスキーの一種です。

バーボンとウイスキーを別物と認識されている方がいらっしゃいますが、あくまでウイスキーであり、その中のバーボンウイスキーという種類になります。

●ウイスキーとは

ウイスキーとは穀物(大麦、ライ麦、トウモロコシなど)を糖化・アルコール発酵させ、蒸留した飲料をウイスキーと呼びます。

細かな定義は国によって異なりますが、一般的には上記のように穀物の蒸留酒で樽で数年以上熟成させたものとなります。

蒸留酒については別記事で解説しています⇒醸造酒と蒸留酒の違いとは

●バーボンウイスキーの定義

バーボンウイスキーはアメリカ法律で定められており、主な内容は以下となります。

  • 製造はアメリカ合衆国のみ
  • 原料の51%以上がトウモロコシ
  • 熟成には内側を焦がした新品のオーク樽を使用
  • 瓶詰された状態でのアルコール度数が40%以上

細かくは他にも定められていますが、上記の通り、アメリカで作られた主原料がトウモロコシで新品の内側を焦がした樽で熟成されたウイスキーがバーボンとなるわけです。

逆にこれらを一つでも当てはまらないものがあればバーボンウイスキーとは呼べません。

●バーボンウイスキーの歴史

エライジャ・クレイグ スモールバッチ

バーボンウイスキーは、1789年、アメリカ合衆国のケンタッキー州の牧師、エライジャ・クレイグ氏によって作られました。

クレイグ氏は牧師として活動する一方、ウイスキーも作っていましたが、ある時たまたま樽の内側を焦がしたものを熟成に使った事からバーボンウイスキーが始まりました。

この製法が広がり、後に、クレイグ氏は『バーボンの父』と呼ばれるようになりました。

●バーボンの由来

バーボンの由来は、フランスのブルボン朝が由来となっています。

アメリカ独立戦争の際、フランスはアメリカ側に付いたことから、アメリカがフランスへの感謝の気持ちを込めてケンタッキー州のとある郡を【バーボン郡】と名付けました。

この地で、エライジャ・クレイグ氏がウイスキーを作り広まったことから、このウイスキーを「バーボン・ウイスキー」と呼ぶようになりました。

このような歴史的背景もありバーボンウイスキーと言えば、ケンタッキー州のイメージが強いですが、上記のアメリカの法律の通り、ケンタッキー州に限らず、アメリカ合衆国内で製造されていれば、バーボンウイスキーと呼ぶことが出来ます。

●バーボンウイスキーの種類

バーボンウイスキー熟成期間や製造場所ブレンド内容によって以下のような呼び方があります。

  • シングルバレル・バーボン・・・一つの樽からのみで瓶詰されたウイスキー
  • スモールバッチ・バーボン・・・数種類~10種程度の少量の樽からブレンドしたものを瓶詰したウイスキー
  • ストレート・バーボン・・・2年以上熟成させたバーボンウイスキー
  • ケンタッキー・ストレート・バーボン・・・ケンタッキー州で製造されたバーボンウイスキー

バーボンとスコッチの違い

バーボンウイスキーと並んで有名なウイスキーと言えば、5大ウイスキーのひとつであるスコッチウイスキーがありますが、バーボンウイスキーとは以下のような違いがあります。

●製造場所が違う

バーボンウイスキーはアメリカとなりますが、スコッチウイスキーはスコットランドで糖化・発酵・蒸留・熟成したウイスキーを指します。

●ウイスキーの綴りが違う

バーボンはWhiskey、スコッチはWhiskyと表記される。

これは、元々アイルランドで作られていたアイリッシュウイスキーは綴りをWhiskeyとしており、アイルランド系の移民がアメリカにわたりウイスキー作りを始めたため、アイルランドと同じ表記となっています。

●原料が違う

バーボンは、51%以上がトウモロコシである必要がありますが、スコッチの主原料は大麦(モルト)となります。

●熟成樽の違い

熟成に使われる樽が、バーボンは新品の内側を焦がした樽を使用しますが、スコッチはシェリー酒やワイン、バーボンウイスキーの熟成で使用した中古の樽を使って熟成をします。

これにより、どのような樽を使うかが、スコッチの個性の一つともなってきます。

●熟成期間の違い

バーボンは、熟成年数については特に定義されていません。
スコッチは3年以上の熟成をする必要があります。

一般的には、バーボンは数年程度、スコッチは10年以上熟成させているものが多くなります。

おすすめのバーボンウイスキー

最後にバーボンウイスキーをあまりご存じない方におすすめする、バーボンウイスキーを4つご紹介します。

●I.W.ハーパー ゴールドメダル

バーボン初心者にお勧めです。
ケンタッキー州のヘブンヒル蒸留所のウイスキー。
トウモロコシの使用比率が、86%と高くトモウロコシの甘味があり、バーボンの中では比較的飲みやすいウイスキーとなります。

●ワイルドターキー 8年

バーボンウイスキーの定番。
バーボンの中では、トウモロコシの使用比率が低く、ライ麦が多く使用されています。
ライ麦の特徴であるドライでスパイシーな刺激のある風味を持ちバーボンらしい力強さを感じる事ができるウイスキーです。

●エライジャ・クレイグ スモールバッチ

バーボンウイスキーの父エライジャ・クレイグ氏の名前がそのままつけられたウイスキー。
香ばしく、焦がした樽の香りが感じられ、まろやかな甘味が特徴で飲みやすいバーボンウイスキーです。

●ブラントン シングルバレルバーボン

バーボンが苦手という方もこれは飲める方が多く、当店では女性にも人気のバーボンウイスキー。上品で深い甘味と焦がし樽の香りが特徴。
ブラントンは必ずシングルバレル(一つの樽からのみ)作られていることが特徴で、ボトルによっても個性がありこの違い試すのも、ブラントンの楽しみ方です。

醸造酒と蒸留酒の違いとは

これをご覧になっている方は、醸造酒と蒸留酒、言葉として聞いた事ぐらいはあるでしょうか。
でも、具体的に何が違うのかと言われると、あまりよくわからない、という話も聞きます。

今回は、そんなわかるようでわかっていない、醸造酒と蒸留酒の違いについてお話いたします!

醸造酒とは

醸造酒は一言でいうと【酵母によってアルコール発酵させたお酒】となります。

●酵母とは

酵母とは、酵母"菌"と呼ばれるように、カビなどと同じ菌類の一種です。
酵母は生き物なので、なにかしらの餌を食べるわけですが、酵母菌は"糖"を餌とします。この糖を食べ、代わりにエタノール(アルコール)と二酸化炭素を排出します。

この性質を利用して、醸造酒が作られています。
パン作りにも酵母が作られますが、パン作りでは酵母が発生する二酸化炭素により生地を膨らませる事に利用しています。

●代表的な醸造酒

代表的な醸造酒は

  • ワイン
  • 日本酒
  • ビール

などとなります。

製法は同じですが、原料がそぞれ違います。
ワインは葡萄などの果実
日本酒は米
ビールは麦
となります。

●醸造酒の出来るまで

醸造酒を作るには、大きくは以下の二つの流れとなります。

①原料を糖化

日本酒やビールの原料となる米・麦などは、でんぷん質(ブドウ糖が連鎖している状態)で大きすぎるため、酵母が食べて働くことができません。
麹を使ったり、麦を麦芽にすることで、酵素を作り出し、この酵素がでんぷんを分解し、酵母が働ける糖をつくりだします。

ワインは特にこれらの工程を行わなくても、果実自身が持つ糖でアルコール発酵が出来ます。

②酵母で糖をアルコール発酵

①で糖化させた状態に酵母を入れると、酵母は糖を食べアルコールを排出します。

酵母が糖を食べきる前に、アルコール発酵を止めれば糖が残り甘いお酒となり、糖を食べきるまでアルコール発酵を続けると、糖分はなくなり辛口のお酒となっていきます。

蒸留酒とは

蒸留酒とは【醸造したものを蒸留することで出来るお酒】です。

●代表的な蒸留酒

代表的な蒸留酒は

  • 焼酎
  • ウイスキー
  • ブランデー
  • ジンやウォッカなどのホワイトスピリッツ

となります。

原料は、焼酎は米や麦、芋など、ウイスキーは大麦、ブランデーは葡萄などの果実が使われています。

少し語弊がありますが、ざっくりと原料を元に言ってしまうと

麦⇒醸造するとビール⇒ビールを蒸留するとウイスキー
葡萄⇒醸造するとワイン⇒ワインを蒸留するとブランデー

となるわけです。
※実際には、ビールにはホップが入るなど、ここにはない工程がそれぞれあり正確ではありません。

●蒸留酒の出来るまで

【醸造したものを蒸留することで出来るお酒】というだけあって、途中の工程までは醸造酒と同じとなります。

蒸留とは、学校の理科の実験などで記憶されている方も多いと思いますが、液体を沸騰させ気化した気体を取り出し再び冷やして液体にする事です。
実際の蒸留酒づくりでも、あの理科の実験で使ったような蒸留のセットを遥かに大きくしたような蒸留器でお酒を作っています。

アルコールの沸点は、78.3℃と低いことを利用し、蒸留することでアルコール度数の高い液体を作り出す事が出来ます。

この結果、醸造酒はアルコール度数が20℃程度なのに対して、蒸留酒は蒸留を何度も繰り返せば、90℃以上のお酒を作り出すことも出来ます。
実際には、ここまでアルコール度数が高いとおいしく飲めるというレベルではないため、加水して40℃程度まで下げて市販される蒸留酒がほとんどです。
(中には、写真右スピリタスのような96℃という殺人的なウォッカなども販売されています)

●蒸留酒は糖質が無いのは本当?

蒸留酒は蒸留することで純度の高いアルコールの液体となり、それ以外の不純物が少なくなっています。
醸造酒に比べれば糖質はかなり低くなっていますが決して全く無いわけではありません。

また、カクテルとして蒸留酒をジュースで割るなどすれば、当然ジュースには糖質はあるので、もはや「蒸留酒は糖質が低いから~」という事は無くなります。

結論、好きなものを飲めば良いと思います(笑)

最後に

今回は、醸造酒と蒸留酒についてお話させていただきました。

製法に絞った説明のため、細かくは省いていますが、実際のお酒造りにあたっては、それぞれ個性のある風味を出すため、ここには書いていないような多くの手間や工夫をしてつくられています。

醸造と蒸留はお酒造りの基本となる製法で、これらの特徴を考えながらお酒を飲んでみるとまた面白くなると思います!

「ジントニックでバーの違いがわかる」と言われる理由

お初天神 バー・ザ・メモリー:ジン・トニック

「ジントニックを頼めば、そのバーの事がわかる」
なんて言葉、聞いたことあるでしょうか。

はたまた、バーテンダー側からすると
「1杯目にジントニックを頼む人はお店を試している」
なんて言葉も。

この言葉のせいで、私は普通に飲みたくて1杯目にジントニック頼みたいのに、同業者として頼みづらくなりました(笑)
(自分が店側でお客様から一杯目に頼まれた時は、全く気にしませんが)

本当にジントニックでバーがわかるのでしょうか。

今回はそんなどこにでもあるジントニックから見えてくるポイントを説明したいと思います。

別記事にジントニックの材料や作り方があるので、先にそちらを見ていただいた方がわかりやすいと思います。⇒【カクテルレシピ】ジン・トニック(1分で読めます)

ジントニックはどこのバーでもある

実は最重要。
バーの違いを知るには、そえぞれのバーで同じものを頼まないと、違いが分かりにくいものです。
そういう意味では、カクテルの中でもジントニックは比較的どこのバーにも置いているカクテルと言え、注文がしやすいのが特徴です。

炭酸に対する考え方が見えてくる

【おいしいハイボールの作り方】の記事でも書きましたが、炭酸(トニックウォーター)の扱いは気を使う必要があります。
炭酸の扱いを見れば、いかに炭酸が抜けないように扱っているか、アルコールとの特性の違いを理解しているかが見えてきます。

【おいしいハイボールの作り方】では、出来るだけ炭酸にショックを与えないように扱うように書きましたが、あえてジンにドボドボと流し込み、ジンの香りをより引き立つように注ぐバーもあります。

  • 無駄に混ぜないなど、炭酸とアルコールの特性を理解して作っているか
  • ショックをあたえずに注ぐのか(炭酸が抜けないことを優先する)
  • あえてドボドボ注ぐのか(香り立ちを優先する)

炭酸の扱いだけでも、それぞれの考え方が見えてくるわけです。

ジン"トニック"はトニックだけとは限らない

ジントニックは、名前の通りジンをトニックウォーターで割ったシンプルなカクテルです。
が、トニックウォーターだけでなく、ソーダも使うことが良くあります。
トニックウォーターは甘味のある炭酸なので、甘味を少し抑えたい場合などは、トニックウォーターの量を減らし、ソーダを入れます。

  • トニックウォーターだけなのか
  • ソーダも使うのか
  • 使う場合は割合はどのくらいか

そんなところもバーによって変わってきます。
ちなみに、ソーダも入れる場合、ジントニックと区別するため【ジンソニック】なんて言い方をする事もあります。

果汁・ジュースで好みが見える

ジントニックは、ライムの果汁又は市販のジュースも入ります。
これも何をどう扱うかで風味が大きく変わってきます。

  • 生ライムの果汁を使うか
  • 市販されているライムジュースを使うか
  • 分量はどのくらい入れるか
  • ライム自体をカクテルの中に入れるか入れないか

市販されているライムジュースは甘味があり、生ライムを使うと香りが華やかになります。
ライム自体をカクテルの中にいれると、ライムの香りがより広がりますが、逆に香りが強すぎるという人もいると思います。

これもまた良い悪いではなく好み、バーそれぞれの考えの違いとなります。

ジンのハウスボトルは何を使うのか

ここまでの話だと、ジントニックでなくても、ウォッカトニックでもテキーラトニックでも良さそうに思います。

「ジントニックを頼めばバーがわかる」と言われる所以は、ハウスボトルとしてのジンの選択肢が多い事でしょう。

ハウスボトルとは、お客様からジンの銘柄指定が特に無い場合に、使う銘柄を指します。

どのバーにも、ジンのハウスボトル、ウォッカのハウスボトル、テキーラのハウスボトル、といった具体にそれぞれでハウスボトルを決めていますが、ジンは他のウォッカ、テキーラ、ラムを含めた4大スピリッツの中で、比較的種類が多くあります。

例えば、某大手全国チェーンの酒屋の販売サイトを見ると4大スピリッツの種類は以下となっていました。
ジン:34種
ウォッカ:25種
テキーラ:18種
ラム:20種

このように、ジンの取り扱いが一番多いことが多く、それだけハウスボトルの選択肢も広くなっており、考え方に違いが出てくる部分となるわけです。

●ハウスボトルの見方。良い・悪いは無い!

例えば

  • 価格が高く、ジンらしいボタニカルの風味が強い"T"
  • 価格がリーズナブルで、"T"ほど風味は無い、すっきりとした"G"

の2種類のジンがあるとします。

一見すると、ハウスボトルに
高い"T"を使っていたら「お、良いジン使ってるね!ここは良いバーだ!」
安い"G"を使っていたら「なんだ、ここは安もんのジン使ってるのか。」
と思ってしまうかもしれません。

しかし、高いTと安いGの特徴は言い換えると

  • 高いTは、ジンのクセが強く、苦手な人もいる
  • 安いGは、強いクセはなく、比較的万人受けしやすい

とも言えるわけです。

つまり、安いGを使っているバーは、
単に安いから使っているのかもしれませんが、
銘柄指定されずに使うハウスボトルだからこそ、万人受けしてかつリーズナブルに飲める銘柄をあえて選んでいる、とも考えられるのです。

はたして、ハウスボトルに最初から高いものを使うことが本当に良いのでしょうか。
高いボトルを使うという事は当然その分、1杯の料金も上がります。

今回は分かりやすく極端な2種類で説明しましたが、上記の通り、ジンは多くの種類があるので、この微妙な塩梅をどうとるか、バーにより色々見えてくるわけです。

ちなみに、一般的なバーでは、ハウスボトル以外にも、いくつかの種類のジンを置いてあり、指定さえあれば、お好みのジンでジントニックを作ってもらえると思います。

最後に

どこにでもあるシンプルなカクテル、ジントニックですが、意外と奥が深く、作り手の色々な考え方が見えてくることがわかっていただけたかと思います。

シンプルだからこそ違いがわかりやすく
シンプルでありながら、個々の材料を何にするか、材料をどう扱うかで大きく変わってくるカクテルというわけです。

どれが正しいか間違っているかではなく、それぞれの考え方を探りながら飲んでみると、ジントニックがよりおいしく感じると思います。

【バーのマスターによる】おいしいハイボールの作り方。たった2つのポイント。

こんにちは。
お初天神 バー・ザ・メモリー、マスターの銭谷です。

最近はハイボールを家で自分で作って飲まれる方も多いようで、お客様から、家でもハイボールを作るけど同じウイスキーの銘柄なのに、お店で飲むのと違う、といわれる事がよくあります。

お店ではお金をいただく以上、重箱の隅をつつくレベルであれこれこだわっていますが、基本的に気を付けるべきポイントはシンプルで、家でも十分に美味しく作る事が出来ます。

美味しいハイボール作りのポイントは2つ

  • 冷やせるものは出来るだけ先に冷やす
  • 出来る限り炭酸が抜けないようにする

このたった2つのポイントを意識するだけで、おいしいハイボールが作れます。

ということで、今回は家でも出来るおいしいハイボール作りを紹介いたします。

①グラスを冷やす

まずグラスに氷を入れます。
氷だけをいれた状態で、バースプーン(なければ、マドラーでもお箸でもOK)で、ぐるぐると氷をかき混ぜグラスを冷やします。

目安は、グラスがうっすら白く曇ってきたら大丈夫です。

この時点で、氷が溶けて水がグラスの底に溜まっているようなら、いったんこの水をしっかり切ります。

②ウイスキーを注ぐ

次に、ウイスキーを注ぎます。
分量はお好みですが、一般的にはウイスキーとソーダの割合は、1:2.5~3ぐらいが目安となります。

ウイスキーを注ぐ時のポイントは、氷の霜を取るように氷にあてながらウイスキーを注ぎます。
氷の霜は、このあとソーダを入れる際にソーダと触れることで炭酸の抜ける要因となるので、ウイスキーを氷にあてることで、その要因となる霜を出来るだけ取っておきます。

③ウイスキーを冷やす

グラスに氷とウイスキーが入った状態で、再度氷をぐるぐるとかき混ぜ、ウイスキーを冷やします。
回す回数は10回転ぐらいを目安にしてください。

④ソーダをゆっくり注ぐ

ソーダは事前に冷蔵庫で冷やしておいてください。

ソーダを注ぐ際は、バースプーン(なければ普通のスプーン)の腹の部分を使い、ソーダを少しずつスプーンの腹にあてながら注ぎます。

理由は2点

  • ソーダを注ぐ時のショックをやわらげ出来るだけ炭酸が抜けないようにする事
  • 氷(の霜)に炭酸をあてないように(抜けないように)する事

⑤最後は混ぜなくてよい

ソーダでグラスを満たせば、最後はバースプーンやマドラーなどでグラスの底まで突っ込み1,2回ゆっくり上げ下げして完成です。

アルコールは炭酸よりも比重が軽く、また炭酸の泡によって、特に混ぜなくても勝手に混ざります。
なので、あえて混ぜるような事をしても炭酸が抜けるだけで、あまり意味はありません。

最後に

当店でも実践しているハイボールの作り方をご紹介しました。

ハイボールの作り方は千差万別、色々な考えの元、色々な作り方があります。
ここで紹介したのは、その多くある作り方の中の、あくまで当店お初天神 バー・ザ・メモリーとしての考えの上でお作りしているレシピとなります。

ハイボールはシンプルなようで奥が深い飲み物です。
ウイスキーの銘柄をどうするか、ソーダは弱炭酸か強炭酸か、などでも大きくかわってきます。
この辺は好みに左右されるところなので、あえて今回は説明しませんでした。

お店によって、作り方の違いなどを見て、またその違いがなぜあるのか、飲むときにはどう影響するのか、そんなことを考えてバーで飲んだり、家であれこれ試しながら作ってみると、より一層ハイボールを楽しむことができます。

是非、自分にとってのおいしいハイボール作りにチャレンジしてみてください!

【バー入門】会計の言い方、スマートな仕方は?「おあいそ」は実は言わない方が良い?

ファミレス、喫茶店、比較的大きなバーでは、レジなどがあり会計するための場所でお金を支払いますが、小規模なカウンター中心のバーではレジなどが見えるところになく、会計時どうしたら良いか迷う方もいらっしゃると思います。

今回はバーでの会計時の頼み方、またスマートな会計方法についてのお話いたします。

バーでの会計時の言い方は

会計をしたいという意思がバーテンダーかスタッフに伝わればなんでも良いのですが、よくある言い方は下の3パターンです。

  • 「チェックして」
  • 「お会計して」
  • 「締めて」

あとは、バーテンダーと距離があるなどで大声を出すのが憚られるといった場合はバーテンダーと目があったタイミングでジェスチャーで

  • 両手の人差し指で交差して×(〆)を作る
  • 指で"〆"の字を空中で書く

といった方法もあります。

これにバーテンダーが気づけばすぐに会計の準備(計算)をし、会計伝票をお持ちします。
伝票に記載された金額を支払い、おつりがある場合は受けとって、お会計の終了となります。

「あおいそ」は実は使わない方が良い

上記と並んで会計時によく使われる言葉は「おあいそして」という言葉です。
これも、特に問題はありませんが、語源をたどった場合使わない方が良い、という事もあります。

●会計時の「おあいそ」の意味

「おあいそして」
は、もともとは、料亭などの店員同士が使う言葉でした。

使われ方としては
「お客さん、お帰りになるから"愛想(あいそ)"良くお見送りして」
という"お愛想"から、
帰る際の会計時の店内でのやりとりとして
会計をする=おあいそ
と使われるようになりました。

このようにあくまで店側の人間同士が使う言葉だったので、お客さんが自分で使ってしまうと
「私に愛想良くして(=愛想の悪い店!)」
といった意味になってしまいます。

とは言え、今現在一般的に使われる言葉となっていますし、店側も言われたからといってお客様がなにかクレームとして言っているわけでは無い事はわかっているので、特別気にすることはありません。

店側がどうこうという事はありませんが、一緒にその場にいた人などで「あおいそ」の意味を知っている人は知っているので、使わない方が良いとは思います。

バーで会計の時「お釣りは取っておいて」は必要?

たまに当店でも
「お釣りはチップとして取っておいて」
と言っていただく事があります。

オーセンティックなバーなどに行くと、むしろお釣りやチップを渡すのがマナーなの?と思われている方もいますが、日本では全く必要ありません。

我々バー側にとっては、お店に来て飲んで、その分の代金をいただければ、それが十分な対価なので、それ以上気を使っていただく必要は全くありません。

むしろ、お客様はそのつもりがなくても、変に"借り"が出来たように意識してしまったり、場合によってはトラブルの元になりかねない事から、お店の方針として受け取らないようにしているお店もあります。

会計は基本的にまとめて

小規模なバーでは、基本的に会計はその組をまとめて会計させていただく事となります。
喫茶店などで見る、一人一人自分の飲んだ分を言って払うのは、出来ないわけではないですが、会計の計算をしなおし一人一人に対応するため時間がかかるので、もともとスタッフが少ない小規模なバーでは、他のお客様の対応が出来なくなってしまうため、"スマートな会計"という意味では避けていただいた方が良いと思います。

●"自分の飲んだ分だけ払う"はやめた方が良い

会計後それぞれの代金を、お客様の中で振り分けられる事は全く問題ありませんが、バー(お酒の席)の飲み方・会計の考え方としては、「自分は1杯しか飲んでいないから1杯分で」というのはあまり綺麗な飲み方とは言えません。

これは、お店側は関係なく、お客様同士の関係性の問題ではあるのですが、
"バーの代金は時間に対して掛かっている"
"その時間をどう考えているかが最後の支払いに反映される"
と思っていただくのが良いと思います。

つまり、何人かで2時間飲んだのであれば、それぞれ何杯飲んでいようが、公平に2時間という時間を過ごし、その時間に対して代金を払っている、というわけです。

一緒に飲んでいる相手が
上下関係の無いフラットな関係であれば割り勘する(=同じ時間を公平に過ごした)のが良いでしょうし、
接待など、片方がその時間に対しての思いが強い場合は、全額(or多めに)支払う(=貴重な時間を割いてもらったお礼)となるわけです。

お酒は、あくまでそれぞれが共に過ごす時間を有意義にするための要素に過ぎず

  • バーで人と過ごす時間に対して自分はどういった思いでいるか
  • 相手には何を感じてもらいたいか

そんな気持ちを表す一つが、最後の会計と言え、この考え方が出来る方はスマートな飲み方が出来る、と言えると思います。

●バーでクレジットカードは使っても良い?

クレジットカードの支払いに対応しているお店であれば、もちろんクレジットカードを使って問題ありません。

お客様によっては
「カードは店側の手数料かかるから、やっぱり現金の方が良い?」
と気を使ってくださる方がいらっしゃいますが、確かにいくらか手数料を店側が支払っているのは事実ですが、少額ですので
「その気遣いよりも、次も是非来てください(来ていただく事に比べたら手数料は無いに等しい)」
というのが本音です。

その手数料が勿体ない・・・というぐらいであれば、お店はクレジットカードには対応させていないと思います。

また、当店もそうですが、外からはクレジットカードの支払いに対応しているような、シールや案内を出していないけど実は対応しているところも多く、カードに対応しているか外からは分かりにくいバーが多くあります。
クレジットカードが使えるか知りたい時は、素直に
「クレジットカード使えますか」
と聞いてもらえればと思います。

最後に

今回はバーのお会計について書かせていただきました。

なんら難しい事は無いのですが、バーに行き慣れていない方にとっては迷うポイントでもあると思います。

会計というのは、ただお金を支払うだけ、ではありますが、お店はお客様に対して、お客様は一緒に飲んだ人に対して、そしてお店に対して、色んな思いが混じる瞬間でもあります。

細かなマナーや言い方がどうというのは実は大した問題ではなく、その瞬間ををそれぞれがいかに感じ表現するか、それがバーで過ごす時間の意義に繋がるのだと信じて、私も日々全力でお会計をさせていただいています。

【初めてのバー】ウイスキーの飲み方9パターンをご紹介

普段ウイスキーを飲まないのに、バーで思い切ってウイスキーを頼んでみたら
「飲み方はどうされますか」
と聞かれてドキッとされた経験は無いでしょうか。

聞いたことあるのは、ロックとハイボールぐらいしかないから、結局そのどちらかでしか頼んでいない・・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ウイスキーは奥が深く、飲み方が変われば楽しみ方もかわってくる不思議な飲み物です。

今日は、ウイスキーの飲み方をご紹介します。
この記事を読んでいただければ、ウイスキーの代表的な飲み方がわかり、次からバーで注文する時が楽しくなると思います。

ロック(オン・ザ・ロック)

バーでウイスキーを飲むといったらこの飲み方を想像する方が多いのではないでしょうか。

グラスに氷を入れ後はウイスキーを注ぐだけ。
氷をカチワリ氷で使っていることが多く、この氷の形が、ロック(岩)のように見える事からこう呼ばれるようになったと言われています。

●ロックの特徴

水やソーダで薄めたくはないけど、冷やして飲みたいという方にぴったりの飲み方です。
氷だけなので、最初はほぼストレートの近い状態でありながら、冷えている事で飲みやすくなります。

時間とともに氷が溶けて加水されていきますが、ウイスキーは加水されればまた味や香りが変化するため、この変化をあえて楽しむことの出来る飲み方です。

●丸氷を使ったロックの特徴

当店、お初天神 バー・ザ・メモリーもそうですが、丸氷を使ってロックを提供するお店もあります。

丸氷の特徴は、カチワリ氷に比べて溶けにくい点にあります。
氷というのは角から溶けていきますが、丸氷は角が無いため溶けにくいわけです。

溶けにくいというのはメリットのように聞こえますが、上記のように氷が溶ける事での加水による変化を楽しむという点では、丸氷はその変化が緩やかなので、カチワリ氷と丸氷のどちらが良いかというと、最後は好みの問題となります。

ストレート

氷も水もソーダも入れず、ボトルから注いだウイスキーそのままで飲む飲み方です。

ウイスキーがお好きな方は
「ウイスキーを味わうならストレートじゃないと」とおっしゃる方も多くいらっしゃいます。

当然度数も高いままで、味も香りもそのままとなります。
が、当然アルコールの風味も非常に強いため、逆に味や香りがわかりにくい、という方もいらっしゃいます。

ストレートで飲む場合は、交互にチェイサーを飲みながら少しずつ飲まれる事をおすすめします。

ハイボール・ソーダ割り

グラスに氷を入れウイスキーを注ぎ、最後にソーダで割ります。
日本では、ハイボール=ウイスキーソーダ割りとなります。

焼酎(最近はウォッカ)のソーダ割りを、焼酎ハイボール(チューハイ)と呼ぶように、広義的には、ウイスキーに限らず、スピリッツやリキュールをソーダで割ったものをハイボールと呼ぶこともあります。

●ハイボール・ソーダ割りの特徴

ソーダで割ることの特徴は、炭酸により香りが非常にたちやすい飲み方であるという事です。
したがって、香りが良いとされるウイスキー(マッカランなど)ではお勧めの飲み方です。

ウイスキーをソーダで割ることを「そんなの勿体ない!」とおっしゃられる方もいらっしゃいますが、個人的には、ウイスキーの味・香りを楽しむにあたって、ストレートやロックとは違う味や香りが楽しめ、非常に意味のある飲み方の一つだと思っています。

また、ストレートやロックはウイスキー自体がどうしても口の中で強く残りますが、ソーダで割るとすっきりと飲めるため、料理を食べながら飲むにはぴったりと言えます。

●ハイボールとソーダ割り、どっちで呼んだらよい?

ハイボールとソーダ割どっちで呼ぶべきか、結論から言うと、どっちでも良いです(笑)

たまに
「ハイボールは居酒屋さんの安いやつだ!バーで良いウイスキーを飲むなら、ソーダ割りと言うべきだ!」
とおっしゃられる方もおられたり
「ハイボールで、あ、いやソーダ割で」
と丁寧に言い直される方もいらっしゃいますが、
カウンターに立っているバーテンダーとしては、本当にどっちでも良いのです。

ハイボールと注文されたからって「この人わかってないな」なんて、まず思いませんし、私も含めて、プロのバーテンダーでも普通に”ハイボール”で注文しています。
なにより、どっちで呼んでも味は変わらないですから(笑)

トワイスアップ

グラスにウイスキーと等量の水を加水する飲み方です。

これまでにも書きましたが、ウイスキーは加水することで、より味や香りが芳醇になる事が多く、その特徴を活かした飲み方となります。

多くのウイスキー蒸留所のブレンダーも、テイスティング時はストレートではなくトワイスアップで飲んでいることが多いようです。

当店でも、ロックやソーダ割りに比べるとあまり頼まれることは無いですが、たまに
「トワイスアップで」と頼まれると
「お、この人、通な人かも」と思ってしまいます(笑)

水割り

グラスに氷を入れ、ウイスキーと水を注いだ飲み方となります。
ウイスキーと水の割合は、1:2.5~3程度。

厳密には、上記のトワイスアップも水割りではありますが、日本では水割りと言うと、こちらの氷を入れた状態を指すことが一般的です。

ロックやストレートはちょっと強すぎる、そして炭酸は苦手、という方にはぴったりの飲み方で、飲みやすてウイスキーの個性が素直に感じる事の出来る飲み方となります。

ハーフロック

これも水割りの一種ですが、
水の割合は、ウイスキーと1:1つまり等量となります。

トワイスアップの氷つきとも言えます。

ロックはちょっと強いけど、水割りほど薄めなくて良い、という方が飲まれます。

ハーフソーダ(ハーフロックソーダ)

ソーダ割りの1種ですが、ウイスキーとソーダの割合が1:1となります。
ハーフロックの水がソーダになったパターンとも言えます。

一般的なソーダ割りでは少し薄く感じてしまうが、炭酸でウイスキーの味や香りの開きを楽しみたい方は、この飲み方をされます。

ホット(お湯割り)

名前の通り、ウイスキーをお湯で割ります。

冬にぴったりで、また冷えた水やソーダとも違う、お湯だからこその香り・味の鼻や口の中での広がりがあり、同じウイスキーでもお湯で割ることで新しい発見があります。

ミスト(クラッシュド・アイス)

広義にはロックの1種で、氷を専用にクラッシャーで砕いた氷を使います。
しゃりしゃりとして、夏場にピッタリです。

通常のロックよりも氷が溶けるのは早く、その分飲みやすくなります。

最後に

ここまでウイスキーの主な飲み方9パターンをご紹介しました。

これだけの飲み方がずっとあるということは、それぞれに良いところがあり、それぞれ愛されて飲まれ続けているという事でもあります。

個人的な思いとしては、この飲み方でないとダメ!他は邪道!なんてものは無く、固定観念にとらわれず、色々な飲み方に挑戦していただきたいと思っています。

お好きなウイスキーがある方は、普段飲まない飲み方をしてみることで、新たな一面を発見でき、よりお酒探しが楽しくなると思いますので、是非お試しください!

【初めてのバー】メニューが無い時やお酒がわからない時の注文方法3パターン

ドキドキしながらバーに入って、いざ注文!と思ったら、お店にメニューが無い・・・なんて事は経験無いでしょうか。
小規模なバーではメニューを置いていないお店が多くあります。

また、メニューがあっても中を見てもお酒に詳しくなくてさっぱり・・・というお客様もよくお見掛けします。

お酒に詳しかったり好きなものがはっきりしていれば、バックバーをみながらありそうな銘柄を注文したり、好きなカクテルを伝えたりできますが、初めてのバーやバー初心者さんではどうしたら良いか困りますよね。

そんな時どう注文すればよいのでしょうか。

「おすすめをください」は、NG

当店、お初天神 バー・ザ・メモリーではメニューをご用意していますが、やはりメニューを見てもよくわからない!というお客様は多くいらっしゃいます。

そんな時によく言われることが
「おすすめをください」
といったご注文です。

お店によっては、ウチに来たらこれを飲め!と謳っているところもありますが、多くのお店は、おすすめできない物は店に置かないしメニューにも書かない!となります。
(もちろんそんな言い方しないですけどね(笑))

●お酒探しはお客様とバーテンダーの共同作業

結局のところ『おいしいお酒』というのは主観でしか無く、バーテンダーとしてはその方にとって出来る限り美味しいと思っていただけるものを提供したいと考えます。

そのためには、単に「おすすめを」ではなく、お客様の情報が必要になってくるのです。

過去の好きだったものを伝える

もし、過去に飲んだお酒で好みのものがあって、その名前を憶えているのであれば、それを言っていただくのが最も近道です。

「前にグレンフィディックを飲んで美味しかったけど、他で近いの無い?」
みたいな具合で大丈夫です。

お酒の銘柄やカクテルの名称は、どんな味か非常にわかりやすい情報なので、バーテンダーは提供できる範囲で近いものをお出しすることが出来ます。

好みの味を伝える

はっきりとお酒の名前までは出てこない(知らない)場合は、言葉で好みを伝えましょう。
お酒によってポイントが異なりますが、ウイスキーとカクテルの場合では以下のようになります。

ポイントは、いずれもあまり細かくは指定しない方が良い事です。
細かくなればなるほど提案できる幅が狭まり、組み合わせによっては実現が難しくバーテンダーが困る事があります(笑)
あくまで自分にとって優先したい部分のみ伝えて、あとはバーテンダーにまかせてみると良いでしょう。

●ウイスキーの好みを伝えるためのパターン

細かく言い出すとキリが無いのですが、ざっくりと以下の中でどれが飲みたいものに近いか伝えてみましょう。

ウイスキーの味・香りのパターン例(どれか一つ)

  • すっきりと飲みやすいもの
  • スモーキーなもの
  • ヨードの味、香りがするもの
  • フルーティ、甘さがあるもの

詳しい方に言わせると、ウイスキーのカテゴライズとして上記の味や香りのパターンは不十分で正しくないと言われると思いますが、厳密に区別するよりは、最初はこのくらいにざっくりとしたニュアンスの方が幅が広がりバーテンダー側としても提案がしやすくなります。

●カクテルの好みを伝えるためのパターン

カクテルの場合は、味のパターン、炭酸の有無、アルコール度数、好きな色などから組み合わせてみると良いと思います。

味のパターン例(どれか一つ)

  • 柑橘系
  • 辛口
  • 甘口
  • フルーティ
  • 他オレンジジュースを使って。GET(ミントリキュール)を使って。など

といった具体に好きな味を素直に伝えましょう。
複数合わたような、柑橘系で辛口といったことも出来るのですが、最初からあまり絞らずあくまで優先度の高い味をひとつ伝えていただいた方が良いと思います。

炭酸の有無(どれか一つ)

  • 炭酸有り
  • 炭酸無し

アルコール度数の例(どれか一つ)

好きな色の例(どれか一つ)

  • ピンク
  • どすぐろい系

4つ書いていますが全てを言う必要はありません。
例えば「柑橘系でアルコール度数は低めで」といった具合に注文いただければOKです。
ちなみに、色を指定すると使用する材料がある程度決まってくるため、味の融通は利かなくなります(笑)

メニューを指しての内容を聞く

メニューがある場合は、素直に
「これはどんな味ですが」
「なにが入ってますか」
と聞いて、合いそうなものを頼んでいただくのももちろんOKです。

バーに来ると、知らないと思われたくない、聞くのが恥ずかしい、といった感じになるかもしれませんが、お店側からすると、メニューをお出ししても、お客様にとってはよくわからないのが普通だと思ってメニュー出してますんで(笑)

逆に、よくわからずなんとなく頼まれて、結果、口に合わずほぼ飲まれず残されてしまう事の方が遥かに残念な気持ちになってしまいます。

2杯目からはさらに近づける情報を伝える

ここまでは1杯目の伝え方としてご紹介しましたが、バーテンダーも頂いた情報から出来る限り全力でご提供しますが、1杯目でベストに行きあたるとは限りません。

そんなときは、
「1杯目の味はそのままで、もうちょっと辛口なのが好き」
といった具合に、もう一歩近づける情報をいただけることで、少しずつお好み近づいていくことができます。(と信じています(笑))

注文にあたって予算を言っても良い

メニューから頼む場合はメニューに値段が記載されている事がほとんどですが、バーテンダーにまかせる場合、値段がいくらぐらいのものが出てくるかわからず不安になることもあると思います。
お酒もピンからキリまで幅広いため、恐ろしい値段になっても怖いですよね。
(実際には、いきなり極端に高いものを出す事は基本無いですが・・・)

そんなときは遠慮なく、予算も一緒に伝えてもらって大丈夫です。
「1,000円ぐらいまでのウイスキーで」とか
「今日は、3,000円ぐらいで、3杯飲もうと思っています」
といった感じで、ご予算を言ってもらえればその範囲でご提供します。

お金の話はしないほうがいいんじゃないか、と思われるかもしれませんが、
カクテルについてはそうそう価格差はありませんが、ウイスキーなどは本当に幅広いため、実はバーテンダーも、どの価格帯でおすすめしようか、お客様のご予算はどのくらいか考えながら選んでいます。
なので、遠慮なくご予算を言っていただいた方が安心してご提案できるのが本音です。

最後に

好みのお酒に出会うためには、お客様から伝えていただく力とバーテンダーの提案する力を合わせた共同作業であり、バー遊びの一つとも言えます。

ここまで長く書きましたが、真剣になる必要は全く無くあまり力まず、なにか好みを伝えてみて、それに対してバーテンダーが何を出してくるのか、あーだこーだ言いながら新しいお酒の出会いを楽しんでいただければと思います。

【カクテル入門】カクテル作りに使われる用語集

本ブログでも色々なカクテルのレシピをご紹介していますが、その中にも専門用語が多く登場します。
カクテルを勉強し始めた方などはわからない用語もあると思います。
この記事では、カクテル作りに出てくる用語をまとめてご紹介いたします。

目次

製法

製法については別記事に詳しく書いていますのでそちらもご参照ください⇒【カクテルの製法】ビルド・ステア・シェイクとは?代表的な4つの製法の特徴や作り方を解説

シェイク

シェイカーと呼ばれる金属の入れ物に材料をいれ振ることで材料を冷やしたり混ぜたりする。
空気を含ませることでアルコールの角がとれまろやかになる。

ステア

ステアには製法としてと技法として二つの意味を持つ。

・製法としてのステア

ミキシンググラスと呼ばれる専用のグラス内に材料と氷を入れ材料を冷やし混ぜる。

・技法としてのステア

バースプーンを利用して混ぜる事。
「ステアする(=バースプーンで混ぜる)」といった使い方をする。

ビルド

提供するグラス内に直接材料や氷を入れ混ぜる(ステアする)

ビルド&シェイク

ビルドとシェイクを組み合わせた製法。
例えば、混ざりにくい材料と混ざりやすい材料を使う場合に、混ざりにくい材料は先にシェイクをしてグラスに入れ、そのあとに混ざりやすい材料をグラスにいれステアをする。

道具・グラス

バースプーン

先端が、片方はスプーン、片方はフォークになっている道具、
主に材料を混ぜたり(=ステア)、果物をなどを指してグラスに絞り入れるときなどに使用。

カクテルグラス

すり鉢状の飲み口に足が付いたグラス。
容量が少ない代わりに度数の強いカクテルに多く使われる。
(例)マティーニコスモポリタン
カクテルグラスを使用したカクテルを、小さいことからショートカクテルとも呼ばれる。

ロンググラス(ゾンビグラス、コリンズグラス)

縦長の筒状のグラス。
スピリッツやリキュールを、ジュースや炭酸で割ることが多く、比較的アルコール度数は低い。

ロックグラス

お酒に氷だけを入れる飲み方をロックと言い、そのためのグラス、
大きなロック用の氷が入るように、飲み口が広くなっている。

ミキシンググラス

製法においてのステアを行うための専用グラス。
ストレイナーと呼ばれる蓋があり、これを被せて水を切るなどができる

カクテルピン

チェリーや果物の飾りづけの際に、指すピン。

材料

スピリッツ

蒸留酒全般の総称。
カクテル作りには、「ウォッカ」「ジン」「テキーラ」「ラム」の4大スピリッツが良く使われる。

リキュール

スピリッツに別のスピリッツや醸造酒、砂糖やハーブなどを混ぜた混合酒。

ジュース

果汁を指す。
フレッシュジュースと言うと、果物がからそのまま絞った果汁を言うが、単にジュースと言う場合は、通常のスーパーなどに売っている果汁100%のジュースを指す場合も、フレッシュジュースを指す場合もある。
カクテル作りにおいても、どちらを使うかは好みや手に入りやすさで選んで良い。

単位

tsp(ティースプーン、ティー・エス・ピー)

バースプーンのスプーン側の分量。
1tspはスプーン一杯分、5mlに相当する。

drop(ドロップ)

ビターズボトルから落とす1滴分。0.2ml程度に相当。

dash(ダッシュ)

1dashはぶたーずボトル一振り分。1mlに相当。

oz(オンス)

主にグラスに使われる単位、
1オンスは、30mlに相当。

フルアップ(FULLUP)

炭酸やジュースで割る際に使用。
先にそれ以外の材料の入ったグラスに対して、最後残りをグラスに満たす程度まで注ぐ事