醸造酒と蒸留酒の違いとは

これをご覧になっている方は、醸造酒と蒸留酒、言葉として聞いた事ぐらいはあるでしょうか。
でも、具体的に何が違うのかと言われると、あまりよくわからない、という話も聞きます。

今回は、そんなわかるようでわかっていない、醸造酒と蒸留酒の違いについてお話いたします!

醸造酒とは

醸造酒は一言でいうと【酵母によってアルコール発酵させたお酒】となります。

●酵母とは

酵母とは、酵母"菌"と呼ばれるように、カビなどと同じ菌類の一種です。
酵母は生き物なので、なにかしらの餌を食べるわけですが、酵母菌は"糖"を餌とします。この糖を食べ、代わりにエタノール(アルコール)と二酸化炭素を排出します。

この性質を利用して、醸造酒が作られています。
パン作りにも酵母が作られますが、パン作りでは酵母が発生する二酸化炭素により生地を膨らませる事に利用しています。

●代表的な醸造酒

代表的な醸造酒は

  • ワイン
  • 日本酒
  • ビール

などとなります。

製法は同じですが、原料がそぞれ違います。
ワインは葡萄などの果実
日本酒は米
ビールは麦
となります。

●醸造酒の出来るまで

醸造酒を作るには、大きくは以下の二つの流れとなります。

①原料を糖化

日本酒やビールの原料となる米・麦などは、でんぷん質(ブドウ糖が連鎖している状態)で大きすぎるため、酵母が食べて働くことができません。
麹を使ったり、麦を麦芽にすることで、酵素を作り出し、この酵素がでんぷんを分解し、酵母が働ける糖をつくりだします。

ワインは特にこれらの工程を行わなくても、果実自身が持つ糖でアルコール発酵が出来ます。

②酵母で糖をアルコール発酵

①で糖化させた状態に酵母を入れると、酵母は糖を食べアルコールを排出します。

酵母が糖を食べきる前に、アルコール発酵を止めれば糖が残り甘いお酒となり、糖を食べきるまでアルコール発酵を続けると、糖分はなくなり辛口のお酒となっていきます。

蒸留酒とは

蒸留酒とは【醸造したものを蒸留することで出来るお酒】です。

●代表的な蒸留酒

代表的な蒸留酒は

  • 焼酎
  • ウイスキー
  • ブランデー
  • ジンやウォッカなどのホワイトスピリッツ

となります。

原料は、焼酎は米や麦、芋など、ウイスキーは大麦、ブランデーは葡萄などの果実が使われています。

少し語弊がありますが、ざっくりと原料を元に言ってしまうと

麦⇒醸造するとビール⇒ビールを蒸留するとウイスキー
葡萄⇒醸造するとワイン⇒ワインを蒸留するとブランデー

となるわけです。
※実際には、ビールにはホップが入るなど、ここにはない工程がそれぞれあり正確ではありません。

●蒸留酒の出来るまで

【醸造したものを蒸留することで出来るお酒】というだけあって、途中の工程までは醸造酒と同じとなります。

蒸留とは、学校の理科の実験などで記憶されている方も多いと思いますが、液体を沸騰させ気化した気体を取り出し再び冷やして液体にする事です。
実際の蒸留酒づくりでも、あの理科の実験で使ったような蒸留のセットを遥かに大きくしたような蒸留器でお酒を作っています。

アルコールの沸点は、78.3℃と低いことを利用し、蒸留することでアルコール度数の高い液体を作り出す事が出来ます。

この結果、醸造酒はアルコール度数が20℃程度なのに対して、蒸留酒は蒸留を何度も繰り返せば、90℃以上のお酒を作り出すことも出来ます。
実際には、ここまでアルコール度数が高いとおいしく飲めるというレベルではないため、加水して40℃程度まで下げて市販される蒸留酒がほとんどです。
(中には、写真右スピリタスのような96℃という殺人的なウォッカなども販売されています)

●蒸留酒は糖質が無いのは本当?

蒸留酒は蒸留することで純度の高いアルコールの液体となり、それ以外の不純物が少なくなっています。
醸造酒に比べれば糖質はかなり低くなっていますが決して全く無いわけではありません。

また、カクテルとして蒸留酒をジュースで割るなどすれば、当然ジュースには糖質はあるので、もはや「蒸留酒は糖質が低いから~」という事は無くなります。

結論、好きなものを飲めば良いと思います(笑)

最後に

今回は、醸造酒と蒸留酒についてお話させていただきました。

製法に絞った説明のため、細かくは省いていますが、実際のお酒造りにあたっては、それぞれ個性のある風味を出すため、ここには書いていないような多くの手間や工夫をしてつくられています。

醸造と蒸留はお酒造りの基本となる製法で、これらの特徴を考えながらお酒を飲んでみるとまた面白くなると思います!

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