
ファミレス、喫茶店、比較的大きなバーでは、レジなどがあり会計するための場所でお金を支払いますが、小規模なカウンター中心のバーではレジなどが見えるところになく、会計時どうしたら良いか迷う方もいらっしゃると思います。
今回はバーでの会計時の頼み方、またスマートな会計方法についてのお話いたします。
バーでの会計時の言い方は
会計をしたいという意思がバーテンダーかスタッフに伝わればなんでも良いのですが、よくある言い方は下の3パターンです。
- 「チェックして」
- 「お会計して」
- 「締めて」
あとは、バーテンダーと距離があるなどで大声を出すのが憚られるといった場合はバーテンダーと目があったタイミングでジェスチャーで
- 両手の人差し指で交差して×(〆)を作る
- 指で"〆"の字を空中で書く
といった方法もあります。
これにバーテンダーが気づけばすぐに会計の準備(計算)をし、会計伝票をお持ちします。
伝票に記載された金額を支払い、おつりがある場合は受けとって、お会計の終了となります。
「あおいそ」は実は使わない方が良い
上記と並んで会計時によく使われる言葉は「おあいそして」という言葉です。
これも、特に問題はありませんが、語源をたどった場合使わない方が良い、という事もあります。
●会計時の「おあいそ」の意味
「おあいそして」
は、もともとは、料亭などの店員同士が使う言葉でした。
使われ方としては
「お客さん、お帰りになるから"愛想(あいそ)"良くお見送りして」
という"お愛想"から、
帰る際の会計時の店内でのやりとりとして
会計をする=おあいそ
と使われるようになりました。
このようにあくまで店側の人間同士が使う言葉だったので、お客さんが自分で使ってしまうと
「私に愛想良くして(=愛想の悪い店!)」
といった意味になってしまいます。
とは言え、今現在一般的に使われる言葉となっていますし、店側も言われたからといってお客様がなにかクレームとして言っているわけでは無い事はわかっているので、特別気にすることはありません。
店側がどうこうという事はありませんが、一緒にその場にいた人などで「あおいそ」の意味を知っている人は知っているので、使わない方が良いとは思います。
バーで会計の時「お釣りは取っておいて」は必要?
たまに当店でも
「お釣りはチップとして取っておいて」
と言っていただく事があります。
オーセンティックなバーなどに行くと、むしろお釣りやチップを渡すのがマナーなの?と思われている方もいますが、日本では全く必要ありません。
我々バー側にとっては、お店に来て飲んで、その分の代金をいただければ、それが十分な対価なので、それ以上気を使っていただく必要は全くありません。
むしろ、お客様はそのつもりがなくても、変に"借り"が出来たように意識してしまったり、場合によってはトラブルの元になりかねない事から、お店の方針として受け取らないようにしているお店もあります。
会計は基本的にまとめて
小規模なバーでは、基本的に会計はその組をまとめて会計させていただく事となります。
喫茶店などで見る、一人一人自分の飲んだ分を言って払うのは、出来ないわけではないですが、会計の計算をしなおし一人一人に対応するため時間がかかるので、もともとスタッフが少ない小規模なバーでは、他のお客様の対応が出来なくなってしまうため、"スマートな会計"という意味では避けていただいた方が良いと思います。
●"自分の飲んだ分だけ払う"はやめた方が良い
会計後それぞれの代金を、お客様の中で振り分けられる事は全く問題ありませんが、バー(お酒の席)の飲み方・会計の考え方としては、「自分は1杯しか飲んでいないから1杯分で」というのはあまり綺麗な飲み方とは言えません。
これは、お店側は関係なく、お客様同士の関係性の問題ではあるのですが、
"バーの代金は時間に対して掛かっている"
"その時間をどう考えているかが最後の支払いに反映される"
と思っていただくのが良いと思います。
つまり、何人かで2時間飲んだのであれば、それぞれ何杯飲んでいようが、公平に2時間という時間を過ごし、その時間に対して代金を払っている、というわけです。
一緒に飲んでいる相手が
上下関係の無いフラットな関係であれば割り勘する(=同じ時間を公平に過ごした)のが良いでしょうし、
接待など、片方がその時間に対しての思いが強い場合は、全額(or多めに)支払う(=貴重な時間を割いてもらったお礼)となるわけです。
お酒は、あくまでそれぞれが共に過ごす時間を有意義にするための要素に過ぎず
- バーで人と過ごす時間に対して自分はどういった思いでいるか
- 相手には何を感じてもらいたいか
そんな気持ちを表す一つが、最後の会計と言え、この考え方が出来る方はスマートな飲み方が出来る、と言えると思います。
●バーでクレジットカードは使っても良い?
クレジットカードの支払いに対応しているお店であれば、もちろんクレジットカードを使って問題ありません。
お客様によっては
「カードは店側の手数料かかるから、やっぱり現金の方が良い?」
と気を使ってくださる方がいらっしゃいますが、確かにいくらか手数料を店側が支払っているのは事実ですが、少額ですので
「その気遣いよりも、次も是非来てください(来ていただく事に比べたら手数料は無いに等しい)」
というのが本音です。
その手数料が勿体ない・・・というぐらいであれば、お店はクレジットカードには対応させていないと思います。
また、当店もそうですが、外からはクレジットカードの支払いに対応しているような、シールや案内を出していないけど実は対応しているところも多く、カードに対応しているか外からは分かりにくいバーが多くあります。
クレジットカードが使えるか知りたい時は、素直に
「クレジットカード使えますか」
と聞いてもらえればと思います。
最後に
今回はバーのお会計について書かせていただきました。
なんら難しい事は無いのですが、バーに行き慣れていない方にとっては迷うポイントでもあると思います。
会計というのは、ただお金を支払うだけ、ではありますが、お店はお客様に対して、お客様は一緒に飲んだ人に対して、そしてお店に対して、色んな思いが混じる瞬間でもあります。
細かなマナーや言い方がどうというのは実は大した問題ではなく、その瞬間ををそれぞれがいかに感じ表現するか、それがバーで過ごす時間の意義に繋がるのだと信じて、私も日々全力でお会計をさせていただいています。