
バーに行ってカクテルを注文した時、バーテンダーをよく見ているとカクテルによって色々な作り方をしています。
シェイカーでシャカシャカしている時もあれば、グラスに直接注いている時もあれば、これらはどういった違いがあるのか疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
また、このブログでも多くのカクテルレシピをご紹介していますが、レシピ内でも【製法】と記述をしています。
これらはなぜ使い分けられているのか、結局混ぜてしまえば同じように思いますが、どんな違いがあるのかをご紹介したいと思います。
ビルド
お客様に出すグラス内に直接材料を注ぐ方法です。
ロング(コリンズ)グラスでよく使われる作り方となります。
グラスに材料と氷を直接入れ、ステア(バースプーンを回し材料を混ぜる)します。
特徴は、入れて混ぜる、というシンプルな製法であることもあって、提供時間が短く、バーだけでなく、居酒屋などドリンクを専門としていないお店でもよく使われる製法です。
●ビルドでのカクテルの作り方
- グラスに氷をいれる
- 氷の入ったグラスをステア(バースプーンで混ぜる)してグラスを冷やす
- スピリッツ、リキュール、ジュースなど材料を入れる
- ステアをする
氷を先に入れるか材料を先に入れるかは、作るカクテルの種類や材料(混ざりやすいか混ざりにくいかなど)によって異なることがあります。
例えば、シロップなど比重が重く混ざりにくいものをいれる場合は、氷を入れる前に先に材料を入れてよくステアしてから、氷を入れる事があります。
逆にソーダなどの炭酸類は、比重が軽くて混ざりやすく、ステアをしすぎると炭酸が抜けるため、氷や全ての材料の最後に注ぎステアは軽くする程度にとどめます。
●ビルドの代表的なカクテル
シェイク

バーテンダーと言えば、シェイクをしている姿が思い浮かびやすいのではないでしょうか。
シェイカー(写真右)と呼ばれる金属製の入れ物に材料と氷を入れ、手首を使いシャカシャカとシェイクします。
●シェイクの目的・特徴
シェイクする主な目的は以下の3つとなります。
・混ぜる事
ビルドも材料を混ぜる製法ですが、シェイクの方がよく混ざりやすいため、比重が違う材料など混ざりにくい材料を入れる場合によく使われます。
・冷やすこと
効率よく冷やすことができます。カクテルグラスなどで氷をいれずに提供するカクテルにもよく使われる製法で、その分事前によく冷やしておく必要がある場合にシェイクします。
・空気を含ませる
これがシェイクの一番の特徴と言えます。材料を混ぜるだけでなくシェイカーの中で上下左右前後とシェイクされることで材料と一緒に空気を含みます。これによりアルコールの角がとれまろやかになります。
●シェイクでのカクテルの作り方
- シェイカーに材料を入れる
- シェイカーに氷をいれる
- シェイクをしてグラスに注ぐ
きっちりシェイクができてとカクテルグラスに注がれた時に、小さな気泡が無数にあり濁ったように見えるのが特徴です。
シェイクをするコツはシェイク中に
- 材料はどのくらい混ざっているか
- 材料はどのくらい冷えているか
- 氷はどのくらい溶けているか
- 空気を十分含むような動きになっているか
といった事を意識しながら、シェイカーの中で材料や氷の動きを頭で思い描き、作るカクテルによってコントロールして振ることが大切となります。
逆に言うと、上記を意識できていれば振り方は自由で、バーテンダーの数だけ振り方があると言えるほど幅広いものとなります。
お客さんとしてバーに行く際はどんな振り方か見るのもバーの楽しみ方の一つです。
シェイクだけでも、非常に奥が深く語りだすとキリがないため、またいずれ記事を書きたいと思います。
●シェイクの代表的なカクテル
ステア

ミキシンググラス(写真)と呼ばれる材料を混ぜるためのグラスにいったん材料を注ぎ、ミキシング内で冷やし、混ぜてから、カクテルグラス等に移し提供する製法です。
●ステアの目的・特徴
混ぜる、冷やすについては、前述のビルドやシェイクと同様となります。
ステアの特徴は、通常の飲むためのグラスではなく、大型のミキシンググラスを使用することでよく混ぜる事が出来ます。
空気を含ませ氷がある程度溶け込む事でアルコールの角が取れまろやかになるシェイクに対して、あまり空気は含まれず、氷もシェイクに比べて溶け込む量が少ない事で、アルコールの角がしっかりと残り、辛口のカクテルなどに適した製法となります。
●ステアでのカクテルの作り方
- ミキシンググラスに氷をいれステアをし十分にミキシンググラスを冷やす
- 1により氷から溶けた水を捨てる
- ミキシンググラスに材料を入れる
- ステアを行い提供するグラスに移す
ステアでカクテルを作る際の注意点は
- 1。にてミキシンググラスを十分に冷やすこと
- 水を捨ててから3.4.を素早く行い、出来る限り氷の解ける量を抑える事
が重要となります。
ただし、早さを気にするあまり、十分に冷やせていなかったり、材料を混ぜれていなければ意味がないので、素早くそして確実に、を意識して作ります。
●ステアの代表的なカクテル
ビルド&シェイク
ビルド&シェイクは、応用編といった感じですが、名前の通り、ビルドとシェイクを組み合わせた製法となります。
よく混ぜる必要なある材料と、炭酸など混ぜる必要が無い(あまり混ぜない方が良い)材料を組み合わせる時によく使います。
●ビルド&シェイクでのカクテルの作り方
- 混ぜる必要のある材料をシェイクしグラスに移す
- グラスに氷を入れる
- 炭酸など混ぜる必要があまりない材料を注ぎ軽くステアをする、
●ビルド&シェイクの代表的なカクテル
最後に
ここまで主に4つの製法をご紹介しました。
単に材料を混ぜるだけ、と言ってしまえばそこまでですが、実は混ぜ方・冷やし方によって、それぞれ特徴があり、カクテルの味に大きく影響を与えます。
逆に言うと、どんな製法でつくられるかによって、そのカクテルの特徴も見えてきます。
バーに行った際や、ご自分でカクテルを作られる際も製法を気にしてみると、より楽しめると思うので、ぜひ注目してみてください!