バーで最初に飲み物を頼むと、スナックやナッツ、ちょっとした小鉢などが出てくることがあります。
「頼んでも無いのになぜ出てくるの!?」
「お通しとは違うの?」
と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は【チャーム】についてお話したいと思います。
チャームとは
チャームとは英語で書くと"charm”となり、辞書を引くと『魅力』『人を引き付ける力』といった意味が出てきます。
バーにおいてチャームとは、冒頭にも書きましたが最初にドリンクを頼むとそのすぐ後にとくに注文してなくても出てくる、スナックやナッツ、小鉢類の事を指します。
居酒屋さんで言う"お通し”が近いと思いますが、お通しはいくらか料理されているものが多いのに対して、バーで出されるチャームは、スナック、ナッツ、ドライフルーツなどお皿に乗せるだけの簡単なものが多くなっています。
とは言え、バーによっては料理と言えるほどしっかりしたものを出すところもあれば、そもそもチャームを出さないお店も多くあります。
チャームはなぜ出てくるのか
では、なぜ頼んでもいないチャームが、勝手に出てくるのでしょうか。
主に以下の二つの理由があげられます。
●お酒がすすむようにチャームを出す
バーは基本的には、ドリンク(お酒)を飲んでもらう事で売り上げ・利益をあげるビジネスモデルとなっています。
バーは少しでもお酒を飲んでもらえるように、いろいろな工夫を実はしているのですが、そのうちの一つがチャームといえます。
お酒をより飲んでもらうために、チャームで出されるのは、塩気があって喉が渇きやすいものや、お酒と合わせて食べる事でマリアージュ的によりおいしく飲めるようなものを出されることが多くなっています。
ちなみに当店、BAR THE MEMORYではウイスキーが多い事もあり、ウイスキーと合う生チョコレートをお出ししている事が多くなっています。
●チャージをとる代わりにチャームを出す
テーブルチャージがあるバーでは、何も出さずにチャージだけ頂くのは気が引ける、もしくは理解いただけない場合がある事を懸念して、チャームをお出ししているということもあります。
お店からすると「チャーム出すんでテーブルチャージのご理解よろしくおねがいいたします」といったところです。
ただ、チャージはとるけどチャームは出さない、ノーチャージだけどチャームは出す、といったバーもあるので、この辺は絶対にといったわけではなく、マスターの考えによる部分があります。
チャームとチャージの関係
●テーブルチャージはチャームの代金では無い
上で、テーブルチャージをとる代わりにチャームを出す、ということを書きましたが、テーブルチャージはチャームの代金というわけではありません。
あくまでチャージ料は席代、チャームはお酒を美味しく飲んでいただくためにサービスとしてお出ししている、という事になります。
居酒屋さんのお通しのようなもの、と書きましたが、いわゆるお通しカット(お通しを断ることでお通し代を外してもらう事)は出来ないと思った方が良く、チャームを食べなかったら(断ったら)テーブルチャージは払わなくても良い、というわけではないので、ご注意ください。
●別物だけどチャージとチャームの微妙な関係
チャージとチャームは別物なのですが、チャージとチャームの関係も無くも無いところもあります。
以下は私の経験上のチャージ料と出されるチャームの内容です
ノーチャージから数百円程度のチャージ料のお店の場合
→チャームは出さない。又はスナックやナッツ類、乾きモノが多い
数百円から1,000円程度のチャージ料のお店の場合
→ドライフルーツ、ちょっとした小鉢などオシャレなものが多い。時には本格的な料理を出すバーも。
1,000円を超えるチャージ料のお店の場合
→チャームを出さないところが多い
これは必ずしも当てはまるわけではないですが、あくまで私の感覚的に上記のようなお店が多いと感じます。
チャージ料が1,000円を超えたら、チャームもさぞかし豪華かと思いきや、むしろ出さないお店が多いのが意外と思われたでしょうか。
このクラスのバーは高級バーの部類になり、お客様もそれなりにバーに通い慣れて、またこだわりを持っている方が多くなってきます。
通い慣れている方にとっては、チャームの有無は関係なく、バーにテーブルチャージが設定されているのは当たり前と思っているので、チャームなしでチャージはとりにくい、という店側の微妙な感情は必要無いのです。
また、こだわりをしっかりもっていらっしゃるお客様が多いこともあり、店側が勝手に決まったものを出すよりも、必要に応じて食べたいものをフードメニューから頼んでもらう方がお店側もお客様にとっても都合が良い事があります。
こんな理由でチャームをあえて出さないお店もあるのです。
チャージについてこちらで詳しく書いているのでよければご参照ください。
最後に
ここまでチャームについて書かせていただきました、
チャームは、お酒をより楽しんでもらったり、お店としてのアピール・差別化のために、各店創意工夫をしてサービスでお出ししているものとなります。
かといって、チャームを出さないお店は、サービスが足りない、創意工夫をしていないというわけではなく、人には好き嫌いもあれば、お酒だけ飲めれば特に何も食べたくないという方もおられるわけで、一方的にお出しするのではなく、必要に応じてフード(おつまみ)メニューからお好きに頼んでいただきたい、という思いが込められているとも言えます。
バーの主役、お酒に対して、チャームは脇役ではありますが、大切な存在であり、バーの『魅力』や『人を引き付けるため』のこだわりや思いが詰まった部分でもあります。
これからバーに行くられる方は、こんなところも是非注目してみてください!